報道によると正代はこの日の稽古中、土俵周りにいた若い衆2人を「しゃべるのなら、出て行っていいよ」と叱責。稽古後も「できれば視界に入れたくなかった。しゃべるんだったら、見えないところでしゃべってほしい」と怒りをあらわにした。
これを受けネット上には、普段温厚な正代が怒るのは珍しいと驚きの声が上がったが、中には「1年前とは真逆だな、ちゃんと成長してるんだな」、「合同稽古で親方キレさせた反省を活かしてる」といった称賛のコメントも見られた。
>>大相撲、また正代戦でミス「わざとやってんのか」厳しい指摘も 八角理事長も苦言、相次ぐ差し違え・接触に引退待望論も<<
若手力士の態度を問題視しカミナリを落とした正代だが、昨年は今回の若い衆と同様の態度を見せたことで、春日野親方(元関脇・栃乃和歌)に激怒されるという失態を演じている。
正代が春日野親方の逆鱗に触れたのは、2021年9月場所に向け、両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古(同年8月23~26日)の初日。この日参加した関取衆13人の中で最高位だった正代は幕下力士のぶつかり稽古で胸を出したり、関脇・高安(現平幕)と三番稽古を行ったりして汗を流した。
ただ、正代は幕下相手のぶつかり稽古では他の関取衆とは異なり、押しをこらえずに簡単に土俵を割る姿も目立った。すると、合同稽古を見守っていた春日野親方はやる気が感じられないと判断したのか、胸を出し終えた直後の正代に「そんな胸(の出し方)だったら、大関が胸を出す必要ないんじゃないか。どれだけやるのかと思ったら、なんじゃそりゃ。なめてんのかお前、それが大関か、おい!」とカミナリを落とした。
さらに、春日野親方は「ぺらぺらぺらぺらおしゃべりするなら来るな!」となおも正代を叱責。正代はこの日の稽古前、他の関取衆や親方を相手に談笑する時間が多かったというが、春日野親方はこのような態度で臨むくらいなら来ない方がマシだと一喝した。
正代は、この稽古後に応じた取材の中で「ぶつかりが、ちょっと軽かった。初日だったので自分もそこまで、ちゃんと引き締められていなかった」と反省。ただ、ネット上には「最高位として1番のお手本にならなきゃいけない力士が何をやってるんだ」、「真面目に稽古に来てる他力士にとっても迷惑極まりない」といった呆れ声が上がった。
正代が失態を犯した初日を含め計4日間行われた合同稽古だったが、正代は2日目以降の稽古を欠席。報道では初日に行った高安との三番稽古中に左肘を痛めたことが理由と伝えられたが、一部ファンの間では春日野親方に怒られたショックや、他力士に対する気まずさも理由に含まれているのではと勘繰る声も少なからず上がっていた。
正代は2014年に初土俵、2020年9月場所後に大関昇進と番付は着実に上がる一方、稽古量や熱意に物足りない面があるとファン・親方衆からたびたび指摘されていた力士。加えて、当時は新型コロナの影響で出稽古が行えないストレスもあったようで、2021年9月には「コロナの環境で他の部屋の人としゃべる機会がだいぶ少なくなって、しゃべり込んじゃって。ちょっと緩んでいた、たるんでいたという部分があった」と合同稽古で長く談笑してしまった理由を明かしたことも伝えられた。
春日野親方やファンを呆れさせた合同稽古から約1年、今度は自分が注意する側になった正代。この間の本場所成績は勝ち越し4回(うち2ケタ1回)、負け越し3回と今ひとつだが、春日野親方からの叱責で猛省したのか、稽古に臨む姿勢については成長しているようだ。
文 / 柴田雅人