佐藤対パ・リーグ先発投手、佐々木朗希。見応えのある対戦だった。
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「佐々木が5番・佐藤に投じた初球が、160キロ。それまで対戦した4人のバッターにはストレートしか投げませんでしたが、佐藤に対しては変化球も使っていました。いきなり160キロが出たように、佐藤が佐々木を本気にさせたんです」(プロ野球解説者)
佐々木の外角球に逆らわず、レフトへの犠牲フライ。“怪物同士の対戦”は、記録上では先制点を挙げた佐藤の勝ちだが、
「バットを折られました」
とこぼしていたように、佐々木も爪痕を残したようである。
「バットが折れるなんて…。佐々木の投げたボールがいかにスゴイかが分かります」(前出・同)
気になったのは、佐藤の第2打席以降だ。
同日の佐藤は4回、打席に立っているが、3三振を喫した。そう、佐々木と対戦した後の3打席は全て三振なのだ。
「先日の第一戦も2打数ノーヒット。三振を一つ記録しています」(スポーツ紙記者)
オールスターゲームは真剣勝負と、そうではない部分があるという。出場した選手たちは否定するが、「対戦相手を立てる」時もあるらしく、また、登板する投手も決め球を隠さなければならない場面もあるそうだ。
「優勝争いをしているチームのピッチャーなら、日本シリーズで対戦する可能性のあるバッターに手の内は明かせませんし、所属チームの違うキャッチャーとバッテリーを組む時もあります。後半戦で対戦する相手に決め球の軌道を見せるわけにはいきませんから」(球界関係者)
その通りだとすれば、佐藤と対戦したパ・リーグの投手たちは“決め球”を封印したことになるが…。佐藤は調子を落としているのではないだろうか。
「ホームランダービーの影響もあるかもしれません。ホームランダービーは打撃投手の投げる遅いボールをフルスイングし、スタンドまで運ばなければなりません。でも、今季の佐藤はコンパクトスイングを心掛け、三振を減らしてきました。ホームランダービーで真逆のことをやらされ、タイミングの取り方がおかしくなったのかもしれません」(前出・同)
そう言われてみれば、大谷翔平も昨夏の米球宴でホームランダービーに出場し、フルスイングの連続による後遺症に悩まされた。佐藤も「ファンのために」と責任感で力を入れすぎてしまったのかもしれない。
前出のプロ野球解説者がこう続ける。
「球宴中の佐藤はパ投手の直球に差し込まれていたように見えました」
阪神は首位ヤクルトとの3連戦で後半戦を迎える。ペナントレースを盛り上げるためにも「阪神の3タテ」に期待する声も大きい。後半戦のトラのキーマンに途中加入のアデルリン・ロドリゲスが挙げられている。「7番・一塁」での起用が予定されているが、下位に助っ人を置けるのは、「近本、佐藤、大山」のクリーンアップが安定しているからだ。球宴で快音が聞けなかった佐藤の状態が心配だ。(スポーツライター・飯山満)