今季より巨人に加入したアダム・ウォーカーは、ここまで巨人打線の軸として十二分な活躍を続けている。
打率3割1厘、16本塁打、打点36(7月6日時点、以下同)と、期待以上の数字を残しており、本塁打数は岡本和真、丸佳浩に次いでチーム内で3位、リーグ全体でも堂々のトップ5に着けている。MLB出場経験は無く、「米独立リーグMVP」という異色の肩書と共に来日したウォーカー、日本球界で一気に開花した。
月間別の打率を見ると、レギュラーとして常時出場するようになった4月が.279、5月が.301、6月は.330と、月を追う毎に上昇曲線を描いている。また、首位を独走するヤクルト相手にはここまで.381とめっぽう強く、7月5日からの3連戦でも初戦、2戦目に計3本の長短打を放っている。
一方で、苦手とする相手も解り易く数字が示している。広島投手陣には.140と抑え込まれており、出塁率も.173と極めて低い。7月に入ってから最初のカードとなった広島3連戦で僅か1安打、5個の三振を喫するなど、先月までの好調ぶりが影を潜めることとなった。
特定のチーム、投手への苦手意識がはっきりしていることは、今後の大きな課題となる事は言うまでもない。大きく差を開けられているヤクルトをここから追いかけるためには、ウォーカーの打棒への期待はさらに大きくなるはずだ。
そして、来日以来、もう一つ注目を集めているのが外野守備だ。レフトで起用されている今季、浅いフライでも、タッチアップからホームを狙われるなど、『弱肩』というウィークポイントを早くから露呈し、打球判断やキャッチングにおいても拙いプレーが目立った。
しかし、6月28日の中日戦では、本塁への豪快なダイレクト返球で得点を防ぐというビッグプレーを見せており、また7月6日のヤクルト戦でも村上宗隆の放ったフェンス直撃2塁打に、センター丸のバックアップに入り、的確にクッションボールを処理している。
もはやお馴染みとなった亀井善行コーチとの守備練習が成果となって現れてきており、そのひたむきな姿に、ファンからの称賛の声は膨らみ続けている。複数のマイナー球団を渡り歩いた後、米独立リーグでのプレーを経て巨人のユニフォームを着ることとなった苦労人、アダム・ウォーカー。シーズン後半もどんな成長を遂げるか、非常に楽しみだ。(佐藤文孝)