1969年(昭和44年)6月、東京都足立区の下水道の中から、生後5カ月の赤ちゃんが生きたまま発見されるという事件があった。
下水道に連れ込んだ犯人は同じ足立区内に住む小学5年生の少女・貴子(10歳・仮名)であった。
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一体、なぜ10歳の貴子は赤ん坊を薄暗いマンホールの中に入れたのだろうか?
貴子は以前から問題行動が絶えない子どもとして知られていた。友人の家に行くと土足で上がり、飼っている金魚をわしづかみにして捨て、盆栽を割るといったイタズラを繰り返していたという。
周囲の大人も「10歳の子どもがやること」と思い、厳しくとがめることはなかったが、とうとう事件が起こってしまう。
貴子が近所に住む中田さん(仮名)の家へ遊びに行った際、その家に住む優一くん(2歳・仮名)を人形に見立て、彼の眉毛をハサミで切ってしまったのだ。
幸い大きなけがはなかったが、顔をハサミで傷つけたことは「遊び」では済まされず、優一くんの両親からこっぴどく怒られたという。この日から、貴子は中田家に対する仕返しを考えるようになったようだ。
貴子は家に人がいない隙を狙って再び中田家へ侵入。今度のターゲットは優一くんではなく、最近生まれたばかりの赤ん坊の女の子・義美ちゃん(仮名)だった。
貴子は寝ている義美ちゃんを抱きかかえ「赤ん坊がいなくなればきっと困るだろう」と外へと連れ出した。
だが、連れ出したはいいものの、その後のことは何も考えていなかった。貴子は義美ちゃんをどこかに隠すことに。偶然、近くに工事中の下水道があり、マンホールがなかったことから、ハシゴを下りて中に潜入。寝ている義美ちゃんを薄暗い下水道の中に放置したのであった。
しばらくして、貴子が義美ちゃんを連れ出したことがバレ、義美ちゃんはけがもなく無事に救出され、家族の元に帰っていったという。