そんな魔の曜日の連敗に終止符を打ったのは、昨年から三浦大輔監督が掲げていた「走塁改革」。具現化に成功したのは、森敬斗と神里和毅の足のスペシャリストコンビだった。
まず19日のゲームで2番・ショートでスタメン出場した森は初回、ヒットで出塁した佐野恵太をファーストに置いた場面で打席に向かった。セカンドゴロに倒れながらも、俊足を飛ばして併殺を免れると、3番・蝦名達夫の打席で再三のけん制をしのぎ悠々盗塁に成功。積極的にチャンスを広げていった。
3回にツーアウトで打順の回ってきた森はレフト前にヒットを放ち、続く蝦名の左中間の当たりでタイガースのセンター・近本光司が打球を弾くのを見ると、一気にギアを上げてファーストから長駆ホームイン。これで勢いの付いた打線は、この回一挙3点を奪いゲームを振り出しに戻した。
一方守備からゲームに入った神里は8回、同点のワンアウト一、二塁のチャンスで打席が回り、センターフェンス直撃打を放ち勝ち越すと同時にサードまで進塁。続く嶺井博希のショートゴロの際に“ゴロゴー”でスタートを切ると「あと1点欲しかったので、何とか絶対セーフになるんだという思いを持って走りました」とヒーローインタビューでも振り返った通り、タイガースの内野陣の全身守備をかいくぐる“神走塁”のヘッドスライディングで、貴重な追加点を奪ってみせた。
若手のホープとしてキャンプからアピールを続けていたが、両足のけがで出遅れた森と、ここ2年間はスランプに陥っていた神里。現在セ・リーグ打率トップの佐野を筆頭に、牧秀悟、宮崎敏郎と高打率を誇る好打者の“点”を“線”にする“ニュー番長野球”の申し子の復活は、横浜反撃の大きな武器となる。
取材・文・写真 / 萩原孝弘