ところが、人気と仕事は緩やかに下降線を描き、今年に入ってからの月収は4万円、22万円、16万円などで、かなり厳しめ。とてもではないが、妻と3人の子どもを養えない。そのため、副業を2つしている。1つは、キッチンカー。
友人が経営している飲食店の前の空きスペースを利用して、かき氷店をやろうかと思うと相談されたのがきっかけ。「もちろんやらせてほしい。ちょっとでも収入が欲しい」と二つ返事でOKし、のちに友人から独立。貯金を切り崩して、軽トラックを230万円で購入して、今も続けている。
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フライドチキンの豚肉版「クリスピーポーク」を販売するキッチンカー。しかし、現実は甘くなかった。東京は都の営業許可書が必要。1万8600円かかる。そのうえで場所代、売り上げの10~20%も搾取される。
ある日は大赤字を出した。買い出しで調達した食料をスーパーで袋に詰めた後、その日の売り上げ全額が入ったかばんを置き忘れて、店を出てしまったのだ。焦って戻ったが、すでになかった。およそ30万円。痛すぎる出費だった。
このピンチを救ったのが、カジサックことキングコングの梶原雄太。吉本興業の5年先輩にあたる梶原は、「ホットヒーヒーソース」1ケース24本入りを10ケースも買ってくれた。1200円×240本で、28万8000円を補てんしてくれた。それだけではない。緊急事態宣言が出て、キッチンカーの売り上げが減少したことを受けて、「ツネは家族がいるからとりあえずの金がいるんちゃうか。もしよかったらやけど、うちのチームに入らへんか?」と誘ってくれたのだ。
梶原は、登録者数234万人の大人気動画チャンネル『カジサック KAJISAC』だけではなく、登録者数55.7万人の『カジサックの小部屋』、登録者数11.4万人の『カジサックのゲーム部屋』、相方の西野亮廣との『毎週キングコング』の4番組を抱える。
「ツネさんは、大人気YouTuberの裏方スタッフとして撮影準備や動画のテロップ入れ、編集作業など全般に携わっています。それだけではなく、高まった編集スキルで子どもたちにYouTubeを教える新たな仕事にもつなげました。最近、芸人としては表舞台に立っていませんが、実は成功しているのです」(エンタメライター)
3日間缶詰めになって編集作業に没頭することもあり、仕事はラクではない。それでも、芸人業もキッチンカーもやめてはいない。収入は、7割がカジサック案件。右ひじと左ひじを交互に見せていた芸人は、トップYouTuberのチーム入りを果たして、細々と芸人稼業を続けている。月収の1割が芸人。それでもやめずにいられる背景には、“カジサック様”の恩恵があったのだ。
(伊藤由華)