5月12日、原巨人が連敗を「5」でストップさせた。勝利投手は菅野智之、勝利打点を上げたのは岡本和真。こんな言い方をすると、巨人が“横綱相撲”で勝利したような感じだが、実際は違う。
エースが苦しみながらも、何とか逃げ切ることができた――。そんな試合だった。
>>巨人、正二塁手・吉川は当分復帰できない? 先の見えない打線復調に原監督は内心激怒か<<
「味方のエラーもあったけど、菅野は僅か4球で先取点を奪われました。調子は良くなかったです」(プロ野球解説者)
その後、立ち直り、6回1失点に抑えたわけだが、興味深いのは走者を出した後のピッチング。4回のマウンドが特にそうだったが、走者を溜めた後のアウトカウントを「三振」で取っていたのだ。
菅野は変化球主体のピッチャーであり、三振数を積み重ねていくタイプではない。しかし、走者を溜めた後にギアを一段階挙げてくるのも菅野の特徴だ。「らしくないところ」と「いつも通り」の両面が見られた。
前出のプロ野球解説者がこう続ける。
「いつもの菅野なら、右バッターの外角にスライダーを投げ、それをウイニング・ショットにしていました。そのスライダーを右バッターのインコースに投げたかと思えば、普段は勝負どころで使わないツーシームも多投していました」
そんな必死さが打線に伝わったのだろう。ポランコ、岡本の連続アーチで逆転に成功した。
菅野が右ヒジの違和感を訴え、登録を抹消されたのは4月30日だった。前日の阪神戦では3回でマウンドを下り、その後は二軍で調整していた。
「チームが連敗している重圧もあったと思いますが、この日の復帰登板で勝てなかったら、菅野に対する評価は変わっていたでしょう」(球界関係者)
変化球のキレ、球速など年齢的な衰えもあるのだろう。そのことは菅野自身が一番分かっていたはずだ。
「二軍調整中、右足の移動の仕方とか試行錯誤していました」(前出・同)
また、巨人、DeNAの「雨」に対する捉え方の違いも気になった。
原辰徳監督は「1番丸、2番ウォーカー、3番ポランコ、4番岡本」と続く「打って、打って、打ちまくれ」の打線で試合に臨んだ。連敗中であり、得点効率も落ちていた。しかし、「雨天のため、9回まで試合ができないのでは?」の懸念もあり、とにかく先に得点を挙げておこうとしたそうだ。
対するDeNAは初回、先頭打者が出塁すると、手堅くバントで走者を進めてきた。「雨天コールドの懸念」は横浜ベンチにもあったが、巨人はホームランか、長打を選択したわけだ。
調べ直してみたが、この日のゲームに勝って、巨人の勝利数は首位広島と同じ22勝。ホームランが「勝利打点」となった試合数だが、広島が「5」。巨人は「13試合」である。
巨人はホームランのチームなのだ。一発頼みの野球は大勝もするが、連敗の危険性も高い。“大味な野球”にしないためにも、菅野の次回登板が重要となってきそうだ。(スポーツライター・飯山満)