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これからの時代に必要な「PRODUCE力」を考えることを目的に開催された本イベント。会場にはつんく♂や、佐々木紀彦(PIVOT)、小橋賢児(The Human Miracle)、松村宗亮(裏千家茶道准教授)、緒方憲太郎(Voicy)、中村貞裕(トランジットジェネラルオフィス)、石多未知行(カラーズクリエーション、佐賀文宣(ZVC JAPAN)、光畑真樹(グローバルプロデュース)各氏の、第一線で活躍する各分野のプロデューサー9名が登壇し、「これからに必要なプロデュース力」をテーマにトークセッションを行った。
つんく♂は登壇すると、自身のマックブックをテーブルに置き、チャットに自分のコメントを書き込み、それをスクリーンに表示させる形式で、「プロデュースの根底にあるものとは」をテーマにトークを行った。つんく♂は現在ハワイに在住しているが、まずアメリカと日本での「プロデューサー」の言葉の意味の違いについて説明。アメリカではプロデューサーは「生産者」という意味合いが強く、肩書きにプロデューサーと書くと、「何を作っているの?野菜?CD?」と聞かれることを紹介。
その上で、「僕は『音楽を作ること』がベースにあるので、『生産者』で間違っていない。でも日本では小室哲哉さん以後、『総指揮』の意味のような使い方をする」とその違いを解説。また、プロデューサーに必要な資質として、日本では「イマジネーション、判断力、適応能力、指示力、カリスマ力、バランス力」が必要と自身の考えを述べた。
つんく♂はさらに、プロデュース業をする中でしてはいけないことに「迷うこと」を挙げ、「いろんな情報が入ってきます。いいこと、悪いことなど、そういう情報をたくさんインプットしたとしても迷わない判断力が大事」と持論を展開。「迷っていると失敗する。レコーディングをしていても、歌手が歌った歌を聴いて、瞬間的にOKかもう一回か。何かを判断して伝えなければ、迷っているそのバッファータイムに事故は起こる。本当に的確な判断力が必要」と話す。
「大事なのは、とにかく具体的な指示を飛ばせるかどうか。『お使いができて一人前』なんてよく聞くと思いますが、僕はそっちでなく、『お使いする人にいかに的確に指示が出せるか』。これが出来る人が、本当の能力者じゃないかと思います」とコメントした。
「天才」に対しての見解も問われたが、「みなさん、天才には憧れていると思います。でもほとんどの人はなれません。それは僕も同じです。てか、天才になる必要を感じていません」と笑顔を見せる。「天才は秀でている可能性はありますが、バランス力があるかどうかはわかりません。僕は天才よりプロでありたい。世間を見ながら、クライアントの期待に応える。大衆の心の隙間に入り込む。なんかそういうプロでありたい」と自身の方向性も示していた。
(取材・文:名鹿祥史)