「そういうシーズンで行くって、こっちは決めているんだから」
これは、千葉ロッテとのオープン戦後(3月19日)、原辰徳監督が発した言葉だ。
試合は、惨敗。ペナントレース開幕戦まで一週間を切ったというのに、打線は湿りがち。大量得点のビッグイニングを作れない一因として、チャンスメーカーの1番バッターの不在が挙げられている。
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原監督は同日、湯浅大を1番でテストした。湯浅が期待に応えられず、“日替わり打線”でシーズンに臨むと返したのだ。
「松原聖弥が調子を取り戻せばスンナリ収まるんですが…」
そんな声も多く聞かれた。
しかし、1番バッター不在について語られているのは「松原の復活」だけではない。新外国人選手のグレゴリー・ポランコの1番抜てきだ。
ポランコはメジャー通算98盗塁をマークしている。
走れるのは間違いないようだ。試合前の外野守備を見ていると、コワイ。身長196㎝、体重108㎏強の巨漢で打球を追う姿は迫力満点で、しかも足が長い。一歩の幅が広く、あの体でベースに滑り込んで来ると思うと、まさに脅威である。
「元木ヘッドが1月中に衛星放送の番組に出演し、『1番・ポランコ』の構想を語っていました。4番・岡本和真の前後を打つパワーヒッターとして獲得した選手なので、共演者やMCは笑っていましたが」(スポーツ紙記者)
“元木構想”に真実味が帯びてきた理由はほかにもある。
「近年の巨人打線はホームランの空中戦を仕掛けて勝ってきました。その影響もあって、フルスイングするタイプが多くなり、出塁率に重きを置いたバッターが少なくなってしまいました。昨年オフ、日本ハムからノンテンダーとなった西川遥輝(現・東北楽天)を獲りに行ったのはそのためです」(球界関係者)
ポランコは、四球を選ぶなど選球眼の良さも見せている。出塁率の高い選手がいないのであれば、1番バッターの概念をブッ壊して、“走れる巨漢”から始まる打順を構成した方が面白いかもしれない。
また、固定できないのは打順だけではなさそうだ。原監督が1番不在を嘆いた19日、桑田真澄投手チーフコーチも、
「今年は固定できるシーズンではないと思います」
と、先発ローテーションが流動的になりそうなことを示唆していた。
期待の山崎伊織が「被安打7失点6」と炎上。15日の中日戦で2回4失点と結果を出せなかった山口俊も二軍降格となっている。
「調子の良くない選手、期待の若手をガマンして起用し続け、成長を待つ戦略もありますが」(プロ野球解説者)
昨季前半戦は不振選手の復調を待っているうちに、ゲーム差が大きく開いてしまった。日替わり打線と流動的な先発ローテーションは、その反省によるものだろう。
日替わり打線なら、今季は総力戦となる。“1番・ポランコ”の元木構想が的中すれば、若手投手も大量得点の援護を受け、ラクに投げられるのだが。(スポーツライター・飯山満)