ここまでオープン戦は3勝8敗2分(3月16日時点)の12球団中11位、チーム打率.205(12球団中最下位)、防御率3.52(同9位)と、浮上の兆しがまるで見えていない。3月5日の日本ハム戦から15日の中日戦まで、引き分けを挟んで7連敗。この間、全てのゲームで得点が2点以下、投手陣も序盤から失点を喫するなど、攻守での脆さが浮き彫りとなった。
大きな不安を抱えるスタートとなってしまった原ジャイアンツ。現状も踏まえ、今季のチームの命運を握っているのがやはり外国人選手、とりわけ打線の核となる「助っ人」の活躍が必須であることは言うまでもない。
何と言っても思い出されるのが昨シーズンの惨状だ。エリック・テームズ、スコット・ハイネマン、ジャスティン・スモークの新外国人を獲得するも、何れも戦力として結果を残すことが出来なかった。日本球界で実績のあるウィーラーだけが唯一人、気を吐いていたものの、昨季の巨人打線に迫力をもたらすには至らなかった。
2022年、巨人は元メジャーリーガーのグレゴリー・ポランコ、そして米マイナーや独立リーグでキャリアを積んだアダム・ウォーカーを獲得した。現在はともに教育リーグで実戦デビューを果たしている。経歴がそれぞれ異なる両選手は31歳と同い年、外野手、2m近い大型の左打者と、共通点も見られる。何れもこのまま順調に調整を重ね、一軍合流、そして開幕戦でその姿を見られることをチームスタッフはもちろん、多くのファンも願って止まない。
日本人では、今季の打線も岡本和真、坂本勇人、丸佳浩が主軸を担うことは変わりそうもなく、秋広優人等、若手の開花も未知数だ。昨季覇者のヤクルト、2位の阪神が要所で助っ人のパフォーマンスが目立っていたことなどからも、巻き返しを狙う巨人にとって両外国人選手の働きは生命線とも言える。
また、ポランコ、ウォーカーの働きぶり如何では、再びスカウティングを行うフロントへも厳しい視線が送られることとなるのは明らか。昨年チーム内を覆った不穏な空気を払拭しなければ、信頼回復、そしてペナント奪還はあり得ない。
3月16日の対中日戦では4対0で勝利し、ようやく連敗を抜け出した原ジャイアンツ。このゲームでは中田翔が3号本塁打を放つなど、全打点を挙げ勝利を手繰り寄せている。実績ではずば抜けている移籍2年目の中田がこのまま、打線の新たな「顔」となっていくのだろうか。(佐藤文孝)