そのフットワークの軽さとスピード。身長187センチ、体重94㎏の大きな体を動かし、併殺プレーでも正確なスローイングを見せていた。
「二塁・佐藤? いや、延長戦対策。代打、代走などで選手をたくさん使った時、佐藤がセカンドも守れるのなら、守備位置のことで悩まなくて済むから」
チーム関係者は「二塁手」でのスタメン起用を否定したが、「開幕4番」は間違いなさそうだ。
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「4番・佐藤」で臨む試合も多い。4番争いでライバルとなる大山悠輔は、ここまでオープン戦26打数4安打(.154)。24打数8安打(.333)の「佐藤で行くべき」の雰囲気も漂っていた。
「矢野燿大監督も佐藤で決めたみたいですよ。出遅れていた糸原健斗が帰ってきたので、『1番近本、2番糸原』の打順になりそう。佐藤を3番で使ったら、左バッターが3人続きます。矢野監督はそういう打順が嫌いですし」(プロ野球解説者)
若さ、勢いのある打線が編成されそうだ。「4番佐藤」の流れ、雰囲気があるのは本当だが、同時に「大丈夫か?」の指摘も多く聞かれた。
「2019年ですよ。当時、大山が自身初の開幕4番に起用されました。でも、シーズン中盤に4番の座をマルテに明け渡しました。成績不振だから外されたことは、大山も自覚していました。でも、ショックが大きすぎて、立ち直るまで時間も掛かって」(前出・チーム関係者)
「伝統球団の4番」とは、そういうものなのだ。「精神的な強さが必要」なんて簡単な表現では片づけられないものがある。精神力と、首脳陣が4番降格を検討する前に不振から脱する技術の両方がなければ務まらないのだ。
「去年の佐藤ですが、スタメン落ちした時は相当落ち込んでいました。二軍降格を通告された時も『大丈夫か?』と周囲も心配したほど」(前出・同)
佐藤は「第2の大山」となってしまうのか。それとも、4番の重圧に打ち勝って、チームを優勝に導いてくれるのか…。
また、この時点で発表されていない開幕投手についても、気になる情報が聞かれた。
「本命の青柳晃洋は『知らされていない』と言い続けています。矢野監督が二軍を指揮していた18年、その薫陶を受け、『矢野監督のおかげで今がある』と捉えています。矢野監督のラストイヤーに恩返ししようとしています」(前出・同)
ほかの投手に決めたとしても、青柳への期待感を対面して伝えれば、大きな戦力となってくれるはずだ。淡々とマイペース調整を続けている藤浪晋太郎もブキミだが、今季のキーマンが見えてきた。佐藤、青柳が矢野監督の命運を握っている。(スポーツライター・飯山満)