2月20日、元日本ハムの中村勝投手がオリックスの安達了一、紅林弘太郎など5選手に対し、20球強を投げ込んだ。前日19日からチームに合流しており、球団発表によれば、23日の社会人チームとの練習試合にも登板させるという。
「獲得が前提でキャンプに合流させたのだと思います」
そんな風に予想する声も多く聞かれた。
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実は、昨シーズン中も「中村獲得」の話は出ていたのだ。それも、複数の球団から。
中村は09年ドラフト会議で1位指名され、19年まで日本ハムに在籍した。将来のエース候補と目されたが、17年7月、右肘を手術。19年オフに解雇を通告された。
しかし、中村は蘇った。海外のプロリーグチームに在籍し、昨年はメキシコで最多勝、最高勝率のタイトルも獲得した。
「中村が復活した話は、どのチームも渉外担当者を介して知らされていました。コロナ禍による混乱、帰国者の隔離期間などの問題がなければ、昨季中にNPB復活を果たしていたはずです」(ベテラン記者)
NPB復帰は、中村自身も目標としていたという。今回の入団テストは“その第一歩”となりそうだが、こんな指摘も聞かれた。
「オリックスの今後に必要な選手だと思います」
どういう意味かというと、球団は昨季の勝因は“意識の変貌”とも解釈していた。
「エースの山本由伸を始め、練習熱心な選手が増えました。4番を予定している吉田正尚も僅かな時間も惜しんでバットを振っています。投打の中軸選手がマジメに練習すれば、他選手も良い影響を及ぼします」(球界関係者)
少し前までは“マイペースな選手”ばかりだった。
良く言えば、「自分を持っている」わけだが、自身の練習メニューを終了させたら、周りの選手のことは見向きもせず、宿舎に帰ってしまった。「開幕に間に合えば」「怪我をしないため」と言って無理をしない選手が投打の中核となっていたため、“勝利に対する熱量”もイマイチだった。
「昨季、本塁打王のタイトルを獲得した杉本裕太郎も一軍に定着するまで苦労しました。練習熱心な選手が増えてくれば」(前出・同)
メキシコの野球環境は、恵まれていない。グラウンド整備もテキトーで、マウンドの硬さも一定ではない。強風に晒されている球場もあれば、室内練習場も広くない。「それでも這い上がってやる」の強いメンタルがなければ、生き残れない環境だ。
日本ハム時代の中村を知るプロ野球解説者がこう続ける。
「変化球の持ち球が多いタイプ。右肘の故障も癒えたからか、ストレートも速くなったと聞いていますが」
打撃投手として登板した20日のピッチングでは、球速は全て130キロ台だった。この先、球速も上げていくと思われるが、連覇をめざすオリックスの発奮材料にもなってもらいたい。(スポーツライター・飯山満)