>>元横綱・朝青龍氏が舞の海氏に激怒「顔じゃないよ!」 白鵬への「汚点」発言で思い出される過去の失言とは<<
問題となっているのは、結びの一番となった横綱・照ノ富士対大関・貴景勝の取組前に飛び出た発言。北の富士氏は照ノ富士が前日に今年4回目(通算6回目)の優勝を決めたことから、「少なくとも、来年一年は照ノ富士の時代じゃないですか」と2022年も照ノ富士一強が続くのではと予想。一方、牙城を崩せそうな力士は貴景勝以外には見当たらないと物足りなさを口にした。
その話の流れで、北の富士氏は「だから朝乃山が早く帰ってこないかなということですよ」と、不要不急の外出により7月場所から6場所連続出場停止中の平幕・朝乃山(元大関)の復帰を切望。同時に、「長すぎるんじゃないの?(処分)期間がね。みんなそう言ってますよ。少なくとも僕の周りの人は」、「協会の人が聞いてて『余計なことを言うな』ということかもしれんけど、考えてくれてもいいと思うけどね」と、協会側に処分の早期解除を主張した。
北の富士氏の発言を受け、ネット上には「照ノ富士の対抗馬が欲しいっていう気持ちは分からなくもない」、「今のままなら朝乃山が上位に戻れるのは早くても2年後になるからなあ」、「来場所から復帰なら十両からの再始動だから、照ノ富士と取組組まれる立場まではすぐに戻れるな」と同調の声が寄せられている。
一方、「照ノ富士を止められそうな力士がいないからって、協会にさっさと処分解けって文句言うのは違うだろ」、「朝乃山は嘘ついて協会怒らせてるから早期復帰は絶対無理だと思う」、「相応の理由があっての6場所停止なのに縮めたら反省にならない」、「対戦成績を考えたら、そもそも処分の期間に関わらず朝乃山は対抗馬にはならないでしょ」と否定的なコメントも多数挙がった。
朝乃山は当時大関だった今年5月場所前、協会が定める外出禁止期間中に複数回キャバクラに通っていたことが一部週刊誌の報道により発覚。これを受けた協会はコンプライアンス委員会の調査を経て、場所翌月の6月に「6場所出場停止、50%の減給6カ月」という処分を下している。
「朝乃山は“前年7月に阿炎(現平幕)がキャバクラ通いで処分を受けた前例があったこと”、“他力士の模範となるべき大関という立場で不用意な行動をとったこと”、“当初は協会側の事情聴取に対し事実無根と虚偽報告を行っていたこと”の3つが絡んだ結果、厳罰を受ける形となりましたが、協会はこの3つのうち、虚偽報告を最も重くみたとされています。実際、当時の報道では尾車コンプライアンス部長(元大関・琴風)が『最初から本当のことを言っていれば、3、4場所でここまでの処分ではなかった』と、正直に打ち明けていれば話は変わっていたと語ったことも伝えられていました。うそをついて言い逃れしようとした経緯を考えると、協会側が温情で朝乃山の処分期間を短縮することは考えにくいでしょう。一方、朝乃山は過去、照ノ富士に対し『0勝5敗』と一度も勝てていないことから、ファンの間では早期復帰の実現可否にかかわらず、朝乃山が照ノ富士の対抗馬になることは考えにくいとする意見も見られます」(相撲ライター)
朝乃山は処分内容が変わらなければ2022年7月場所から復帰となるが、同場所の番付は三段目上位、もしくは中位になるとみられており、仮に復帰後全勝を続けても再入幕は2023年になる可能性が濃厚。本格復活までまだまだ先が長い朝乃山よりは他力士の台頭に期待する方が賢明なのかもしれない。
文 / 柴田雅人