昨年、12月K-1両国大会での才賀紀左衛門戦以来の試合となる卜部。前回の試合は計量オーバーやローブローによる反則負け裁定という結末だった。あの試合以降はどのように過ごしていたのだろうか。「ああいう試合だったので、気持ち的に今後どうしようかなというのはありました。でも僕たちプロのファイターが名誉挽回できる場所はリングの上しかないので、次リングに上がる時は最高のパフォーマンスをして、いい試合を見せるしかないと思って練習を再開しました。口でああだこうだ言ってもしょうがないので、試合が決まるまでしっかり準備を続けておこうと思っていましたね。今までの僕は、試合前に身体が動かなくなっても『試合前だから』という理由で無理やり練習してたんですよ。それが昔からずっと続けてきた僕のやり方で。でもこれからは練習のメリハリというか休むところは休もうと意識し始めました」と意識改革をしたことを明らかにした卜部。
今回、対戦カード発表記者会見後に元同門の登坂匠さんがオープンした宮崎のジムで合宿を行ったそうで、「まず宮崎という場所が気候も含めて集中して練習できる場所だなと思いました。練習メニューとしては、朝は外で走って、昼はジムで筋トレして、夕方はジムワークという感じで。トレーナーの方にもトレーニングを見ていただいて、すごくいい練習が出来たと思います」と充実している様子。
対戦カード発表会見では「ここ数年は戦う理由を探していた」「もう自分自身のために戦う力はないと思っている」という言葉もあったが、「確かに最近の試合はモチベーションの低下を感じていました。そのモチベーションのまま『追い込まなきゃいけない』というストレスの中で練習を続けていたので、いいパフォーマンスが出来ていなかったんです。でも今回宮崎で合宿をやってみて、一日三部練を一週間というペースで練習を続けていたのに、あまり疲れなかったんです。ちょっと筋肉痛になってきたなと思っても、朝起きると気分もすっきりして身体も動くんです。環境や調整方法を変えるだけで、こんなにいい練習できるんだったら、今までやってきたことにこだわらずに変えるところは変えた方がいいと思いました。早く試合をしたいというわけではなく、しっかり自分を作ってリングに立ちたいという気持ちです。試合に対するモチベーションは高いですよ」とモチベーションは保っている。
対戦相手が芦澤という部分もモチベーションにつながっているようで、「芦澤選手は今のK-1において特殊な選手で、独特の雰囲気や色気もあるので、他の選手とやるよりも楽しみな気持ちはあります」と語った。
これからのK-1ファイター・卜部弘嵩の目標は「特にまだ決めていないんですけど…どうですかね。今回は今までと違うスタイルで練習をしていて、どんな結果が出るかで今後の道が決まると思います。そういう意味で僕にとって大事な試合です。今やっている練習方法が僕にとってベストなものでなければ、もう(試合を)やらない方がいいのかもしれないし、逆にバッチリとハマったら、またチャンピオンをめざすべきだと思うんですよ。だから僕にとっては大事な試合です」とチャンピオンになるためにも今回は負けられない闘いになりそうだ。
(どら増田 / 写真©︎K-1)