記事によると、いじめが多発している原因は、Amazonのスマートスピーカーにあるという。スマートスピーカーに音声認識を開始させるためのキーワード「ウェイクワード」は「アレクサ」だ。アレクサという名前の女の子らは、「アレクサ、○○して!」のように、命令されたり、からかわれたりしているようだ。
BBCによると、イギリスでは、10代の『アレクサ』という名を持つ少女の母親が、このいじめで娘が精神的な苦痛を味わったため、娘を改名させたという。
>>コロナという名前の女性、自宅に脅迫めいた電話やレストラン予約拒否など差別を告白<<
この母親はBBCの取材に対して「娘は今、ずっと良い状態にあります。友達とは縁を切り、新しい学校に通わせて再出発しました。とはいえ、不当な仕打ちは今後も付きまとうでしょう。Amazonは自社製品のデフォルトのウェイクワードを変更しなければなりません。Alexaを使用するための倫理的な調査が明らかに不十分だったと思います」と述べている。
なお、同国には、25歳以下でアレクサという名前の女性が4000人以上いるという。
また、同じくBBCによると、アメリカ・マサチューセッツ州に住む女性は『Alexa is a Human(アレクサは人間だ)』というキャンペーンを始めたという。彼女もまた、アレクサという名前の娘を持つ母親だ。同キャンペーンの公式サイトによると、彼女は①アマゾンがブランド名を変更すること②人間の名前をウェイクワードに設定する影響について認識を高めるーの2つの目標を達成するために、オンライン上で声を上げ続けている。
このような状況を受け、アマゾンは「我々の音声アシスタントは、賢く、思いやりがあり、共感でき、包括的であるという、我々が人として大切にしている資質を反映して設計されています。お客様が経験されたことを悲しく思っており、ここではっきりとお伝えしたいことがあります。我々はいかなる種類のいじめも容認せず、可能な限り強力な言葉でそれを非難します」と声明文を発表した。
また、同時に「我々は“アレクサ”に代わるものとして、“エコー”、“コンピュータ”、“アマゾン”など、他のウェイクワードを提供しています。我々はお客様からのフィードバックを大切にしており、すべての活動と同様に、この分野でお客様により多くの選択肢を提供する方法を引き続き検討していきます」と発表し、ウェイクワードは変更可能であることを強調した。
このニュースにネットからは、「アマゾンはウェイクワードのデフォルトを変更するべきだ」という保護者への同情の声が寄せられた一方で、「アレクサという名前の娘がいるが、彼女はそのおかげで名前を覚えてもらいやすい」と、名前が有利に働いた経験を持つ人からのコメントも寄せられた。また、「Siriはどうなるんだ?彼らはもう何年間も、そんな状況で生きているよ!」と他のデバイスへのウェイクワードについて触れるコメントも見受けられた。
BBCによると、「Siri」という名前はノルウェーやスウェーデンで使われており、今回の事例と同様に、名前をからかう行為が発生しているという。
アマゾンは現段階で、ユーザーにウェイクワードの変更を促しているようだが、今後抗議が大きくなれば、どのような対応を見せるのか気になるところだ。
記事内の引用について
「Parents of children called Alexa challenge Amazon」(BBCより)
https://www.bbc.com/news/technology-57680173
「Alexa is a Human」公式サイトより
https://alexaisahuman.com/