アメリカ・オハイオ州にあるレストランで、とある男性客がコロナ禍で経営に苦しむレストランを支援するため、レストランに3000ドル(約32万6000円)のチップを支払ったと海外ニュースサイト『ABC7news』が2020年12月に報じた。同記事によると、同レストランはコロナ禍に配慮し、一時的な休業を決めたという。休業に入る前の最後の営業日、男性客はレストランを訪れ、1杯のビールを注文した。男性客はビールを飲み終えると、ビール代とは別に、小切手を切って3000ドルのチップをレストランに渡したそうだ。
店員の一人が300ドル(約3200円)の間違いではないかと男性に尋ねたが、男性は3000ドルのチップで間違いないと店員に告げた。男性は「このお金をスタッフで分け合ってください。そしてまた店が再開した時に会いましょう」と言って、店を後にした。店員の一人は男性の行動を目の当たりにし、感激のあまり涙したそうだ。
金銭的に苦しむ人たちに対し、大胆な支援をした人はほかにもいる。
アメリカ・ニューヨーク州で、当時59歳の男性が、自身が所有するアパートの住人約200人に対し、1か月分の家賃を免除すると伝えたと海外ニュースサイト『Gothamist』が2020年4月に報じた。同記事によると、男性はアメリカで新型コロナウイルスが流行し始めた2020年4月、ロックダウンなどによって仕事ができない人が増えていることに配慮し、自身が所有する80室のアパートの住人や店舗のオーナーら合計約200人に対し、4月分の家賃は不要であると伝えたそうだ。男性は、アパートの玄関前の掲示板に家賃が不要であるという旨の告知文を掲載するなどし、住人らに知らせた。
男性は家賃を免除する決定をした理由について、「私は人々に対しお金の心配をするより家族の健康の心配をして欲しいと思った」と話しているという。なお、男性の申し出を全員が受け入れたわけではなく、約30パーセントの人が受け入れ、残りの70パーセントの人は家賃を支払ったそうだ。
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金銭とは別の形でこんな神対応をした人もいる。
アメリカ・ノースカロライナ州で、とある女性が、高齢者のために無料で買い出しの代行を行ったと海外ニュースサイト『People』が2020年3月に報じた。同記事によると、女性はコロナ禍により、在宅勤務になったという。当時、同州では新型コロナウイルス感染拡大防止のため、外出が許可されるのは生活必需品の買い物をする時のみなどに限られていたが、女性は高齢者が買い物に行くことは感染リスクを高めると思い、近隣に住む高齢者のために買い出しに行くボランティアを開始した。女性は在宅勤務中の1時間の昼休みを利用して、高齢者に必要なものを聞いた後、近所のスーパーに買い出しに行くそうだ。買い出し後は、高齢者の自宅に購入したものを届ける。
女性はできる限り、近隣に住む高齢者の助けをしたいと思っているそうで、近所にチラシを貼り、買い出しの代行を無料で行っていることを告知した。女性は「高齢者に安全に過ごしてもらいたい」と話している。
コロナ禍によって犯罪が増加しているとの報道もあるが、一方で、困っている人に手を差し伸べようとする人も少なくはないようだ。
記事内の引用について
「Ohio customer leaves $3K tip for single beer on day restaurant closed for winter due to COVID-19」(ABC7news)より
https://abc7news.com/tip-beer-ohio-cleveland/8420361/
「Williamsburg Landlord Waives April Rent for Struggling Tenants」(Gothamist)より
https://gothamist.com/news/williamsburg-landlord-waives-april-rent-struggling-tenants
「N.C. Woman Inspired by Grandfather Does Grocery Runs for Elderly Neighbors amid Coronavirus」(People)より
https://people.com/human-interest/north-carolina-woman-does-grocery-runs-for-elderly-neighbors-coronavirus/