去る4月4日、北海道日本ハムファイターズは試合終盤の8回に同点に追いついたものの、「あと1本」が出なかった。3カード8試合を終えて、1勝5敗2分の単独最下位。勝率1割台であり、首位・埼玉西武と大きく水を開けられてしまった。敗因は明白だ。打撃陣の不振、チーム全体で、まだホームランが1本も出ていないのだ。
「ホームランが出ていないのは、12球団で日本ハムだけ」(プロ野球解説者)
近年は低迷が続いており、昨季は「先発投手の人材難」も指摘されていた。ドラフト会議で大学、社会人の即戦力系のピッチャーを多く指名し、それを補うとしたが、
「かといって、そんなに点の取れる打線でもないし…」
なんて皮肉な声も囁かれていた。
投手陣の不安は完全に解消されていないが、先に「弱点」として現れたのは、得点不足の打線の方だった。
「本拠地の札幌ドームで5試合、楽天生命パークで3試合。広い球場での試合が続いたせいもありますが」(前出・プロ野球解説者)
とは言え、札幌ドームで迎えた5試合で、埼玉西武は3本、千葉ロッテも2本のホームランを放っている。
昨季も、チーム総本塁打数はリーグワースト(89本)。選手個々の責任もあるが、最後まで本塁打王争いを繰り広げた主砲・中田翔の言葉が思い出される。
「札幌ドームで入れば、どこでも入るのでね。他の球場が羨ましい。何本、ホームランを損しているんだと考えた時、ちょっと悲しくなる」
昨年8月22日、リーグ最速での20号アーチを放った時に出たセリフだ。ホームラン王争いも最終的には「1本差」で敗れた。その札幌ドームでフェンス直撃弾を9本も放っており、全て他球場ならスタンドに届いていたものだった。愚痴りたくなる気持ちも分からないではない。
「現在建設中の新球場は右中間、左中間の膨らみがありません。東京ドームに似た、いわゆる菱形の球場です」(地元関係者)
現打線でホームランを狙って打てるタイプは中田だけだ。
「西川、近藤など出塁率の高い好打者も多いんですが。走塁ミスが出るなど、集中力に欠けたプレーも気になります」(前出・プロ野球解説者)
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3年目の野村佑希など若い選手も育ってきた。しかし、不慣れな三塁守備でのミスもあり、栗山英樹監督は千葉ロッテとの2戦目以降はスタメンから外している。野村が固定できないとなれば、中田に頼りきった状況はもうしばらく続きそうだ。
中田はキャンプ、オープン戦での成績がイマイチで、「ゴミみたいですね」と独自の言い回しで嘆いていた。思うように外出できない生活についても、「正直に、ストレスが溜まっていた」とも話していた。
やる時はやる、ハメを外すときは思い切り外すというタイプだ。後輩の面倒見も良く、グラウンド外で行動を共にする後輩も多い。ひょっとしたら、打線の低迷はストレスが原因ではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)