2020年に世界で大流行した新型コロナウイルスは日本の芸能界にも大打撃を与えた。特に経済面で大きなダメージを負ったと思われるのが2020年5月に『十三代目市川團十郎白猿』を襲名予定だった市川海老蔵であろう。
2020年12月現在、海老蔵の團十郎襲名披露興行は延期されたままとなっており、2021年も果たして無事に襲名できるのか、分からない状態が続いている。
「市川團十郎」は歌舞伎市川流の家元の名前であり、歌舞伎役者の名跡の中でも最も権威のある名とされている。それだけに中途半端な興行は許されず、歌舞伎界全体が「團十郎襲名」に力を注ぐ必要がある。それだけに披露興行直前での延期に、海老蔵はもとより関係者、経営母体である松竹側もガックリと肩を落としてしまったことだろう。
延期には莫大な予算がかかる。海老蔵の父である十二代目の市川團十郎は1985年の襲名披露興行で35億円もの莫大な予算を使い、現在も海老蔵が亡き父に代わり借金を返済していることは有名な話だ。今回の延期にかかる費用は10億円規模に上っているのではないかと思われる。もっとも災害であるため海老蔵個人がお金のすべてを負担するわけではないが、このまま感染者が増え続ければ規模を縮小し、オンラインでチケットを販売することは免れないであろう。
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だが、海老蔵にとって2020年は決して悪いことばかりではなかったはずだ。
8月に放送された『24時間テレビ』(日本テレビ系)で海老蔵は「一夜限りのスペシャル歌舞伎」と題し、King & Princeの岸優太とともに全国放送で歌舞伎を披露。また同時期、医薬会社のDR.C医薬のマスクのCMでは海老蔵、息子と娘の3人で出演を果たすなど、伝統芸能になじみのない若い世代に積極的にアピールできた。
團十郎襲名はもう少し先になるだろうが、そのときにはより一層、盛大な襲名ができることを祈りたい。