中田は現在、テレビタレントと言うよりは、YouTuberとしての活動に重点を置いている。歴史や経済などのトピックを自分の言葉で紹介する『中田敦彦のYouTube大学 - NAKATA UNIVERSITY』は、登録者数300万人超の人気チャンネルだ。YouTubeの更新は、移住先からも続ける予定だという。
こうした、いきなり決断をしてしまう中田のストイックなキャラクターは、昔からだと言える。中田が芸人になるまでを記した半自伝的小説『芸人前夜』(ヨシモトブックス)には、そうしたエピソードが溢れている。
オリラジがブレークを果たしたのは、「武勇伝」ネタだろう。吉本興業の芸人養成所であるNSC在学中ながら、『M-1グランプリ』(朝日放送制作・テレビ朝日系)で準決勝進出を果たした。このネタはもともと「中田伝説」というもので、本人のキャラクターをベースとしたものだった。さらに、既存の漫才のフォーマットを破壊することを前提に作り上げたネタでもあった。とにかくアツく、新しい物が好きな男なのだろう。
それと同時に、中田には計算高さもあった。2000年代初め、お笑い業界では『エンタの神様』(日本テレビ系)などネタ番組がブームだったため、お笑い業界の場数が多く、「ここならば勝てる」と中田は考えていたようだ。それは、YouTuberブームへの乗っかりも同様のものだろう。
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そもそも中田がテレビに出なくなった理由は、「やりたことをやらせてもらえるまでにならなかった」と、『石橋、薪を焚べる』(フジテレビ系)で語っている。この言葉からは、テレビの世界で頂点を極められなかったという内省も感じられる。テレビをあえて捨てたと言うよりは、YouTubeに逃げたようにも見える。もちろん中田としては、こうした批判は織り込み済みで、それを跳ね返す活躍をめざそうとしているのだろう。
中田がめざしているものは、究極のエンターテインメントだと言われる。ジャニーズ事務所やディズニーなどをライバル視するネット記事のインタビューもあり、かなりスケールがデカい。やはり、日本だけに留まる人物ではないのかもしれない。