東京五輪を戦う稲葉ジャパンの近況だが、二軍を主体とした若手育成のフェニックスリーグで、日本ハムを“代理指揮”したのは既報通り。井端弘和コーチ、建山義紀コーチなどジャパンのスタッフもベンチ入りしているのは、五輪本番に向け、実戦感覚を養うためでもある。
「五輪のベンチ入り選手数は24人。本番を想定し、それに近い人数で戦っています。同点で迎えた試合終盤、捕手のところに打順が回ってきて、代打を出すか否か、稲葉監督がコーチに進言を仰ぐシーンも見られました」(球界関係者)
24人と少人数で戦うため、捕手の登録は2人になる予定。他のポジションと違って“専門的”だ。スタメン捕手に代打を出し、その後に出場した控え捕手にアクシデントが起きたら…。稲葉監督が即決できなかったのは、そのためだ。
「捕手の選手選考は打撃力がポイントになりそう。阪神・梅野隆太郎の名前が有力候補に挙がってきそう」(前出・同)
>>来季から背番号「2」の阪神・梅野、ノルマは34本塁打?元同僚・藤川の“要求”に反響、クリアならリーグVは濃厚か<<
ベテラン選手の理不尽な戦力外通達などゴタゴタの続いていただけに、梅野の高評価は矢野阪神にとって、明るいニュースとなりそうだ。しかし、同時に来年春と五輪直前の7月について、悲観的な情報も聞かれた。
「新型コロナウイルス禍ですよ。来年2月ですが、そもそも、プロ野球キャンプができるのかどうか…。代表候補を集め、連係プレーなどの確認をしておかなければなりませんが」(ベテラン記者)
過去のWBC、プレミア12大会の前、侍ジャパンは海外チームなどを招き、壮行試合を行ってきた。今回は厳しいだろう。そこで囁かれているのが“国内チーム”。ソフトバンク、巨人など特定のチームとの対戦を組む可能性もあるが、3月半ばに入ればペナントレースに向けての調整を最優先しなければならない。7月はペナントレース中であり、特定チームとの試合は、もっと難しくなる。
そこで、急浮上してきたのが、「社会人の代表チーム」との対戦案だ。
「いや、2、3年前から社会人の代表チームとプロ選抜の侍ジャパンとの一戦は検討されていました。社会人側から『選手の励みになる』『社会人野球の宣伝のためにも』の提案も一部から出ていました」(前出・関係者)
一般論として、アマチュア選手はプロに対し、「ひと泡吹かせてやる」と必死になる。近年ではプロ二軍が出場機会を増やすため、アマチュアチームとも試合を行うが、プロが敗れる時もある。その社会人代表チームともなれば、ドラフト上位指名候補のピッチャーを何人もぶつけてくるだろう。
「都市対抗のように、トーナメント方式の大会を戦っているので、社会人野球の選手たちは『1球に対する集中力』が高いんです。4打席に立って、結果を出せばいいというのがプロ。その考え方の違いにつけ込まれたら…」(プロ野球解説者)
先取点を奪われ、追いかける展開になったら、侍ジャパンにブーイングが起こるかもしれない。勝って当然、負けたら袋叩き。阪神・梅野など、打撃力の高い捕手の選出も大事だが、五輪本番前、稲葉監督はヘンなプレッシャーを背負わされそうだ。(スポーツライター・飯山満)