8回まで9-1と楽勝ペースのベイスターズだったが、この回からマウンドに上がった武藤祐太が乱れ西田、宮本に連続タイムリーを浴び2点を献上。ランナー2人を残した場面で、堪らずラミレス監督は進藤拓也を投入するも、西浦にこの日2本目となる3ランホームランを許し、あっという間に3点差まで追い上げられた。
9回ベイスターズ打線は、簡単に3者凡退で攻撃を終えると、ホームのスワローズは1番からの好打順。押せ押せムードの漂う神宮球場の9回のマウンドに上がったのは、今やベイスターズの抑えの切り札・三嶋。先頭打者のエスコバーをストレートで押し込みセカンドフライに打ち取るも、伏兵・田代将太郎に粘られフォアボールを許す苦しい展開。次打者山田哲人の4球目、フォークが引っ掛かりワイルドピッチで益々嫌な流れになるも、山田をサードゴロ、続く4番の村上宗隆をセカンドゴロに打ち取り、ゲームを締めた。
この日はまさかの展開で出番が回り、ブルペンに入って肩を作り始めたのは9回表の自軍の攻撃から。その影響があったのか、普段はほぼ150キロを越すストレートが1球しかなく、打率2割にも満たない田代に粘り負けするなど絶好調とは言えない内容。するとこの回からマスクを被った戸柱恭孝とのバッテリーは、山田にはカーブで入る工夫を見せ、全投球変化球を選択。村上にも初球ストレートでストライクを取ってからは、フォークの連投で打ち取る大人のピッチングが光った。昨年はストレートとスライダーのいわゆる「ツーピッチ」だったが、オフに取り組んだカーブとフォークのマスターにより投球の幅が広がり、クローザーとしても文句ない成績を残すことに成功している。
昨年まで絶対的守護神だった山崎康晃がまさかの不調で、7月29日からクローザーに抜擢されてから、24試合で失点した試合は僅か3試合。7月30日は3点差からの1失点でセーブを挙げ、10月4日の2失点は調整登板の意味合いが高かった。セーブシチュエーションでの失敗は、9月4日の2失点のみだが、当日は初の回跨ぎで、タイムリーもポテンヒットと不運にも見舞われた。それ以外は完璧な投球内容で、ラミレス監督から何度も「グレート」と絶賛されている三嶋。一心不乱に腕を振り続ける17番の背中が、どんどん大きく見えている。
写真・取材・文 / 萩原孝弘