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原因の推測は無意味? 人を自殺行為に踏み切らせるトリガーとは

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 東京都新宿区内の自宅マンションで14日、亡くなった状態で発見された女優の芦名星さん。現場の状況から、自殺とみて捜査が進められているという。ネットでは報道直後から、悲しみの声と共に「なぜ?」という疑問の声も多く見られ、新たな情報が追加される度にその原因を推測するコメントが飛び交っている。また、7月に三浦春馬さんが亡くなって間もないことや、過去に『ブラッディ・マンデイ』(TBS系)で共演していたことなどから、三浦さんの死の影響や関連性も取り沙汰されるなどしている。

 ​>>芦名星さん、直前のSNS投稿にも“闇”が表れていた? プロ意識が高く多くの人が死を悼む<<​​​

 他人が自殺に至った理由を知りたくなること自体は人としてごく自然なことで、ついあれこれと推測したくなるのも無理はない。むしろ、人は不可解なことに対して本能的に脅威や不安を感じてしまう傾向があり、とりわけ知っている人の生命に関する情報に対しては敏感になるのが普通である。
 とはいえ、亡くなった人に対する主観的な憶測をSNSなど不特定多数の人が目にする場で思いのままに公開するという行為は、不謹慎というだけではなく、多くの危険をはらんでいる。ただの憶測がデマとして広がってしまう可能性もさることながら、その内容によっては不安定な人の精神状態に悪影響を及ぼしかねない。最悪の場合、負の連鎖を招いてしまう危険性もある。

 理由を詮索する人はハッキリとした原因を知りたいのかもしれないが、自殺願望は何か1つのことが原因で起こることはほとんどない。いくつもの要因が重なって起こるものだ。例えば、本人の性格や持病、遺伝を含めた気質、生育環境、生活環境、人間関係の問題、経済問題など、そこには多様で複雑な組み合わせがあり、たとえ近親者やパートナーであっても、他人が自殺の原因を把握できる領域には限度がある。

 ただし、自殺衝動を助長し、最終的な自殺行動に踏み切らせるトリガーとなりやすいものもある。多くの場合、自殺願望があっても踏みとどまるのは、生存本能に関わる機能が正常に働いているためだが、そうした生命維持機能を麻痺させる作用のあるアルコールや薬物はトリガーとなることがある。

 自殺願望や深い悩みを抱えた人に対して他人がなにかできることがあるとすれば、「ただ話を聞く」ことに尽きる。話すことによって具体的な解決ができなかったとしても、話すという行動自体にストレスを軽減する効果がある。また、理論的に説明しながら自分を客観視できるため、自ら解決策を打ち出せる可能性が高くなるといったメリットもある。

 逆に、何もやる気が起きないほど気分が落ち込んでいる人や、生きる気力に関わるほど深い悩みを抱えている人は、その悩みやつらさを他人に話すことを心掛けてほしい。どうしても自分の周囲の人に打ち明けられない場合は、傾聴の専門家を訪ねる他、メール・チャット・電話相談などの利用もおすすめしたい。
 仕事に対する真面目な姿勢もさることながら、被災地である地元・福島のボランティア活動や復興支援へ精力的に参加していた芦名さんの死は、多くの人に悲しみを与えた。

 心から芦名さんのご冥福をお祈りする。

文:心理カウンセラー  吉田明日香
 厚生労働省、各都道府県では悩みを抱えた人の相談窓口を設けている。詳細はこちらから。
・厚生労働省  相談先一覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html
・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php

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