6月20日対オリックス戦、楽天の松井裕樹は開幕2戦目のこの日、初回から連打を浴びるなど3安打で1点を失うと、2回には四球だけで満塁のピンチを招く。また2回以降は毎回、先頭打者の出塁を許すなど、リズムに乗り切れない投球が続いた。
思い切りよくストレートで押す場面や、落差のあるスライダーのキレはそれなりに感じられたものの、「初回から力が入ってしまった」とのコメントを残すなど、思うようにストライクが入らず、終始、安定感を欠く内容となった。結果的に最少失点で抑えたものの、4回でマウンドを降りるというこの日の結果は、先発登板への適応の遅れを物語っているようにも感じられた。
春先のオープン戦でも計3度先発し、全て初回に失点を喫した他、2軍戦登板の際には6失点炎上と、いずれのゲームでも立ち上がりでの脆さが露呈した。チーム活動休止期間明けの6月、練習試合での2度の登板で何とか結果を残したものの、滑り込みでのローテーション入りの感が否めなかった。
それでも、開幕2戦目での起用は『守護神』の座を降り、志願して先発転向を果たした背番号1への期待、そして信頼の大きさが表れている。
6年前の2014年、高卒ルーキーの時よりシーズンを通して一軍のマウンドに登り続けた。
翌年からはゲームを締める抑えとして投手陣の支えとなり、毎年、投球回数を上回る奪三振数を記録するなど、空振りを奪うことができるクローザーとして自身の特徴を発揮し続ける。若くして通算セーブ数が100を超えるなど、投手としてのスキルの高さは誰もが認めるところだ。
打線も含め、優勝候補にも挙げられるほど前評判の高い戦力となった今季の楽天において、先発、中継ぎ陣の充実が目覚ましい投手陣。これまでの一軍での実績を踏まえても、松井が「左のエース」の位置付けでローテーションの軸となることが求められている。
「次は言い訳はできない」と、今季初戦を投げ終え、自らを追い込まんとする言葉を発した。
その気持ちの強さとともに、窺い知ることの出来ない程の重みであろう、24歳が秘める覚悟は必ずや、次戦以降の登板で結果として表れるはずだ。(佐藤文孝)