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釣れた魚と旨い酒!日本全国釣り行脚 静岡県沼津沖産ウッカリカサゴ

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提供:週刊実話

「仲間内で船を貸り切ったから一緒にどう?」

 ありがたくもそんなお誘いをいただき、初夏の爽やかな陽気の中、静岡県の沼津にやってまいりました。

 長らくご愛読の方はご存知のように、ワタクシ、普段はドブ川などを主戦場にしている身でありますから、「船に乗る」というだけでもワクワクです。さらには身内で1隻を貸り切る「仕立船」ですから、出船も9時すぎと普通よりはだいぶ遅め。ワタクシのように早起きが苦手な身としては、ありがたい限りでございます。

 朝の喧騒がひと段落した頃に港に到着し、のんびりと出船準備に取りかかります。

 やがて船は岸を離れ、沼津港のシンボル『びゅうお』を潜り抜けて沖を目指します。凪の海を滑るように、そして、涼やかな海面の空気に触れながら沖へ向かう時間は、実に気持ちがよいものです。

 しばしのクルージング気分を楽しんだ後、船頭さんの「やって下さ〜い」の合図で釣り開始です。

 寄せエサとなるオキアミをオモリ付きのカゴに詰め、海中へ沈めていきます。寄せエサでアジやらマダイやらを集めておき、ハリに食いつかせる算段です。

 70メートルほど落としたところで、オモリが底に到達。数メートル巻き上げてから竿を鋭くしゃくり上げ、カゴから寄せエサを振り出します。

 魚を寄せるべく寄せエサを出す→仕掛けを上げる→再び寄せエサを詰めて投入! の一連を繰り返しますが、なかなか魚が掛かりません。

 他の人も同様で、見かねた船頭さんから「移動しま〜す。上げて下さ〜い」と声がかかって、移動となりました。

 陸っぱりでの釣りでは、道具一式を担いでエッチラオッチラ移動せねばなりませんが、船なら座ったままでOK! 実に楽チンです。

 さらに沖に走ること数分、「120メートルで〜す!」のアナウンスで釣りを再開します。狙い所が深場に移るほど「何か面白い魚が釣れるのではなかろうか」などと期待してしまいます。

 先ほどのポイントより深場を狙うだけに、仕掛けが着底するまでかなりの時間を要します。やがて糸の出が止まった頃合で竿を煽り、寄せエサを振り出して魚が寄るのを待ちます。

★ゴム付き漁具にうっかりヒット!

「グイーン!」

 軟調の竿が、やおら曲がりました。即座に竿を手に取って巻き上げ始めると、「グイングイン」と断続的に引き込みます。深場から巻き上げるだけに、存分に手応えを楽しみながら巻き上げてくると、途中から右へ左へと走り始めます。

 オマツリ(周りの釣り人と仕掛けが絡んでしまうこと)しないようにやや強引に巻き上げると、頭でっかちで身はガリガリ…という残念なサバが登場…。スレンダーなオネイサンは大好きですが、コイツはちょっと…。

「しっかり寄せエサを撒かないと釣れませんよ〜!」

 船頭さんも必死な感じで場所移動を繰り返しますが、状況は好転しません。

 そんな中、船尾で竿を出していた仲間が「芳しくないから底物を狙ってみるよ」と、近年人気が高まっている「タイラバ」を結び始めました。これは、ハリが付いたオモリをビラビラのゴムで飾り付けた漁具なのですが、見ているだけで面白い代物ですな。魚もワタクシと同じでビラビラが好きなんですね。まぁ、ワタクシの場合、ゴムは嫌いですが。

「何か来たよ!」

 仕掛け変更が奏功したようで、すぐに声が上がりました。楽しそうなヤリトリの末に海面に浮上したのは、大きなウッカリカサゴでした。

 自前の仕掛けに変えてのヒットだけに「してやったり!」といったところでしょうか。彼は立て続けにアマダイも釣り上げ、終わってみれば一人勝ちとなったのでありました。

 陸に戻って皆の釣果を並べてみると、やはりアイツが目を引きます。それを見ているワタクシの様子が明らかに物欲しそうだったのでしょう、釣った本人から「持って行きなよ」というありがたいお言葉が…。マジで!? 神ですか、アナタは!

★貴重な1尾を鍋物で堪能

 さて、ウッカリカサゴとはまた面白い名前ですが、カサゴに酷似していて“うっかり”見落としがちなことから名付けられたようです。実際のところ、流通の場では厳密に区別されることはなく、「カサゴ」とひと括りにされております。

 お慰みにいただいた1尾ですから、定番の鍋物で美味しくいただくことにしました。

 顔に似合わず上品な白身、武骨なアラからはこれまたいい出汁が出て実に美味。

「今度は絶対にタイラバを持っていこう!」と強く思いつつ、水割りを嘗める夜でありました。

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三橋雅彦(みつはしまさひこ)子供の頃から釣り好きで“釣り一筋”の青春時代をすごす。当然の如く魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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