インド・デリーで、31歳の男が出会い系サイトで自分を医師だと偽り、女性から金銭を騙し取ったと、海外ニュースサイト『Dailyaddaa』と『Storypick』が5月30日に報じた。
報道によると、男は、2019年6月に公開された医師が主人公の映画『Kabir Singh』を見て、医師だと偽って女性を騙す計画を思いついたという。『Kabir Singh』は、怒りを抑えられない主人公の医大生が、女性に恋をし、交際したのち結婚を約束するも、失恋。その後、主人公は、“腕はいいがアルコール中毒”という医師になる物語だ。
>>物乞いする女性と食べ物を配った男性が恋に落ちる 「コロナ禍で生まれたおとぎ話」と話題に<<
男は『Kabir Singh』に影響され、出会い系サイトのプロフィール欄に医師であることを書き、プロフィール欄の写真には有名でないモデルの写真を使った。男はインド国内に住む複数人の女性とメッセージのやり取りをし、実際に会うことはなくメッセージ上で、女性を騙したという。とある女性には裸の写真とビデオを送らせ、「裸の写真とビデオを流出させる」と脅して金銭を騙し取った。また、別の女性には「母親が病気で治療費が必要だ」と嘘をつき、女性から3万ルビー(約4万3000円)を騙し取った。
男に金銭を渡した後、男と連絡が取れなくなった一人の女性が警察に相談し、男は出会い系アプリを使用してから4か月後に逮捕された。男が何人の女性を騙し、総額いくら騙し取ったのかは、記事が公開された5月30日時点では明らかになっていない。
男が影響を受けた映画『Kabir Singh』は、2019年6月に公開されるや否や、インド国内で多くの批判を呼んだ。映画の中で、医大生という設定の主人公は、同じ大学に通う女性に恋をするのだが、大学の廊下で女性を追いかけるなど、ストーカーまがいの行為をしていた。
その後、主人公は女性と付き合うことになるのだが、女性と付き合うことになった後は、女性の行動を管理し、大学の講義で座る場所や大学で着る服を指定したり、女性の友人も主人公が選んでいた。女性が性行為を拒否すると、主人公が女性をナイフで脅す場面もある。
女性を軽視する場面が多いことから、インド国内では「この映画を上映するということは、この国が女性軽視を容認することと一緒だ」「この映画が一部の人を刺激し、女性を軽視する男性が増える可能性がある」という声が挙がっていた。
今回、男が出会い系アプリを通して医師と名乗り、女性を騙す事件が起き、男が『Kabir Singh』に影響を受け犯行に及んだと話していることから、ネット上では「この男は映画を見て、女性は男性より身分が低いものだと思ったのだろう。女性からお金を騙し取ってもなんとも思わなかったはず」「映画が公開されてからこういう犯行が起こると思っていた。この男は最低だけど、映画関係者も責任を感じるべき」「男は映画の主人公に憧れを持っていたのだろう。これ以上、女性を軽視する男に憧れを持つ人が出ると危険」という声が挙がっている。また、男の犯行に対しては「メッセージだけで相手に自分を医師だと信じ込ませ、お金まで払わせるのはある意味すごい」「会わずにお金を要求するなんて、女性も変だとは思わなかったのか」などの声が寄せられている。
今回事件が起きたことで、インド国内では『Kabir Singh』の影響がますます懸念されることだろう。
記事内の引用について
「Kabir Singh Inspired Delhi Man Posed As Doctor On Tinder To Con Women」(Dailyaddaa)より
http://www.dailyaddaa.com/india-news/kabir-singh-inspired-delhi-man-posed-as-doctor-on-tinder-to-con-women-4913689.html
「Inspired By ‘Kabir Singh’, Delhi Guy Poses As Surgeon & Dupes Women For Money On Dating Apps」(Storypick)より
https://www.storypick.com/delhi-guy-cons-women-kabir-singh/