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〈企業・経済深層レポート〉 世界規模の避妊具不足到来で国内メーカーに期待が高まるコンドーム業界

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提供:週刊実話

 感染が拡大している新型コロナウイルスの影響で、「世界的なコンドーム不足に陥るのでは?」という情報が駆け巡っている。

「コンドームメーカーであるマレーシアの『カレックス』が新型コロナウイルスの影響で、3月から4月にかけ一時的にコンドームの生産停止に追い込まれたのです」(コンドーム業界関係者)

 世界の年間コンドーム生産個数は約250億個といわれているが、カレックスはイギリスの「デュレックス」などにOEM(相手先ブランド名による製造)供給するなど、年間50億個を生産する世界最大のメーカーである。

「そのカレックスがマレーシア内の3工場を2週間から3週間、製造をストップせざるを得なくなり、約2億個のコンドームが減少する事態になったのです。そのことでカレックスのゴー・ミア・キアットCEOは『コンドームの世界的な不足に直面するかもしれない』と、警鐘を鳴らしています」(同)

 世界市場ではコンドーム不足が危ぶまれているが、日本市場はどうなのか。国内のコンドームメーカーに生産体制や供給状況を聞いた。

 まず、国内トップシェアを占めるコンドームメーカー「オカモト」だ。

「今のところ当社の製造や販売には特に影響は出ていません。工場は日本国内だけでなく中国などの海外にもありますが、順当に稼働しております」(オカモト広報担当)

 また国内コンドームの大手メーカー「不二ラテックス」のヘルスケア事業部のマーケティング担当者はこう語る。
「カレックスがコロナの影響で減産したというニュースは聞いておりますが、それによって世界でコンドームが不足するかどうかは分かりません。当社の製造や商品供給には今のところ直接影響は出ておりません。当社では予定どおりで、商品製造は順当です」

「オカモト」も「不二ラテックス」も新型コロナの影響によって、コンドーム不足には陥っていないというのだ。
 ただ、不二ラテックスマーケティング担当者はこうも語る。

「カレックスの減産が直接影響があるかどうかは不明ですが、当社のネット通販、つまりEC販売は対前年比でも大きく伸長しています。ECは海外からの購入も多い。ただ、詳細な分析はもう少し時を経ないと分からないというのが現状です」

 この点を経営コンサルタントはこう分析する。

「カレックスの減産によって、アジアの一部ではすでにコンドーム不足が発生し始めたため、日本のEC販売が伸びている可能性があります」

 さらにコンドームメーカー関係者は、EC販売が伸びている理由として「コンドーム需要が増加している」と分析する。

「日本国内では4月7日に緊急事態宣言が出され、在宅勤務やテレワークをする会社員が急増しています。夫婦や恋人たちが自宅で一緒にすごす時間が必然的に多くなり、セックス回数も増加したことで、当然、コンドーム需要が増えている」

 実際、インドでは3月24日に外出禁止措置を発表後、コンドームの売り上げが1週間で25〜35%増になったと報じられた。また、オーストラリアでも3月にロックダウンが発表後、コンドームの売上高が30%増という情報もある。

「本来はドラックストアやコンビニで購入してもいいが、自粛となるとおのずとEC購入に頼ることになる。コンドームは店頭よりネット購入が気楽ということで、国内でのEC販売が伸びている可能性もあります」(同)

 日本のコンドーム生産数は約5億9200万個(’18年厚労省・薬事工業生産動態統計)で世界とは開きがある。これを、このコロナ禍で一気に伸ばすチャンスなのかもしれない。

「いずれにしても、世界のコンドーム需要は確実に増加しています。日本のコンドームメーカーは、製品材料も十分備えがあり、工場の活動制限もない。加えて世界で技術的に優れた日本製品の人気は高い。海外市場拡大は法規制をクリアする必要はあるが、現在は国内メーカーが海外市場のシェアを伸ばすビッグチャンスと言えるでしょう」(ヘルスケア産業関係者)

 株式市場では、コンドーム需要が伸びると予想された影響で、国内コンドームメーカーの株価が大きく跳ね上がっている。

「コンドームは避妊と性感染症予防の両面があるが、需要が伸びつつあるということは、夫婦やカップルの親密度が増している証しです。さらにコンドーム不足となれば、コロナ収束後には、少子高齢化に悩む日本でベビーブームが訪れるかもしれませんね」(同)

 日本のコンドームメーカーは、災い転じて福となすことができるか。

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