志村さんの最後のダメ出しにして遺言とも取れる言葉に、ネット上では「志村さんはやっぱり疑問に感じていたんだな」「確かに冗長な特番は多いよな」といった声が聞かれた。
確かにテレビ番組表を見ると、改編期でないにも関わらず、毎日のように2時間から3時間の特番が多く組まれている。タイトルだけ見ると、複数の番組がセットとなっているものもある。ただ、両番組の出演者が一同に揃うわけではなく、中身は別々の番組といったものも多い。こうした番組はなぜ生まれるのだろうか。
「もっとも大きな要素は、制作費の問題ですね。1時間の番組を作るのも、2時間の特番を作るのも、それほど労力の違いはありません。1時間の番組を毎週作る場合、企画会議に始まり、タレントのブッキング、セット設営、リハーサルを毎度行わなければいけませんが、特番化することでその回数を減らせます。ただ、スペシャルと銘打ちながら、中身は通常放送と変わりないため、間延びした印象を視聴者に与えているのは確かでしょう。ほかの番組を連ねた番組が増えているのも、視聴率の高い人気番組にくっつくことで、少しでも数字を上げようとする姑息な魂胆が透けて見えます」(業界関係者)
志村さんは大悟とのトークで、「8時なら、8時に番組をしようよ」とも述べていた。こちらは、今のテレビ番組によく見られる定時の数分前に始まる「フライングスタート」を批判したものだ。「午後8時」は、『8時だョ!全員集合』(TBS系)や『志村けんのだいじょうぶだぁ』(フジテレビ系)など、志村さんが多くの番組を手がけてきた時間帯でもある。思い入れが強い分、不満もあったのだろう。
テレビ番組はつまらなくなったと言われて久しい。実際、視聴率の下落も止まらない。志村さんの「ダメ出し」を今のテレビ関係者は真摯に受け止めるべきではないだろうか。