阪神・藤浪晋太郎はオリックス二軍との練習試合に登板チャンスをもらったが、矢野燿大監督を喜ばすことはできなかった(3月18日)。
1点ビハインドの試合途中からの登板だった。しかし、結果は3イニングを投げ、被安打5、失点1。視察に訪れた矢野監督は「今日(の結果)だけで判断するつもりはない」と言いつつも、
「しっかり捉えられてる打球も多かったし」
と“落第点”を付けた。
前回3月11日の登板では、4イニングを投げ、被安打2、無失点。「ひょっとしたら!?」と首脳陣も期待を寄せていたが、このザマである。
「11日の登板後、二軍降格を通達する予定だったと聞いています。でも、ピッチング内容が良かったので、改めてテストしてみようということになり、今回の登板につながりました。矢野監督も今後について決めかねている感じでした」(在阪記者)
このまま、一軍に帯同させるか、それとも、二軍で調整させるかを決めかねているという。指揮官が決断できない理由は、「二軍だと、彼のモチベーションが一気に落ちてしまうから」だそうだ。
「藤浪は余計な力を抜いて投げることに終始していました。力の入れすぎが制球難につながっていると彼なりに分析し、脱力投球で相手打者を抑えようとしていました」(前出・同)
しかし、昨秋キャンプから山本昌・臨時投手コーチのもとで学んできたのは、脱力投球だけではなかったはず。「手首をしっかり立てなさい」と技術的なアドバイスを受け、そのために余計な力を抜く必要があると指摘されてきた。余計な力を抜くことなく、手首を立てて、リリースポイントを安定させることが目的なのだが…。
「2回続けて良いピッチングができないのは、真の実力が備わっていないからです。矢野監督は『18日の結果だけで判断しない』と言ったそうですが、行く先々で必ず質問されるのが藤浪のこと。矢野監督もつらいはず」(球界関係者)
18日は味方の守備に助けられたところもあった。こんな言い方は難だが、二軍相手に結果を出せなければ、やはり、今季も復活はないと見るべきだろう。
「選手個々のグッズの売上げなんですが、これまでのトップは鳥谷でした。その鳥谷がいなくなり、阪神グッズの売行きは頭打ち状態です。その中において、藤浪のグッズの売上げは上位に来ています。こんな体たらくなピッチングを続けているのに…」(前出・同)
矢野監督が藤浪を切り捨てることができないのは、そんな営業的事情による圧力もあるからでは? チーム関係者によれば、18日の登板前の投球練習では重量感、キレともにバツグンのボールが投げ込まれていたそうだ。そのボールを見せられたら、「なんとかしてやりたい」と思えてくるそうだ。
藤浪は試合後のぶら下がり取材で、反省点、課題を明確に挙げていた。自身を客観的に見ることができるのは、野球偏差値の高い証拠でもある。考えるべきは、「ならば、どうすればいいのか?」である。(スポーツライター・飯山満)