ZOZOマリンスタジアムで行われた千葉ロッテ対北海道日本ハムのオープン戦で、清宮が途中出場した(3月11日)。翌12日のスポーツメディアでは、「9回表の初打席でヒット」と結果だけが報じられていた。しかし、厳密に言えば、同日の清宮は“守備だけ”で終わる可能性が高かったのだ。
「7回表の攻撃が終わり、清宮が一塁の守備に入りました。7回表は8番、9番、1番が打席に立ち、三者凡退。8番に入っていたビヤヌエバに代わって、一塁の守備に入りました。事前に7回裏から守備に入ると言われていたのか、清宮はハツラツとグラウンドに出て行きました」(関係者)
日本ハム打線の攻撃は、この時点で残り2イニング。7回表が1番バッターで終了したので、8回表の攻撃は2番バッターから始まる。「8回=2、3、4番。9回=5、6、7番」。つまり、日本ハム打線で残り2イニングで一人も走者を出せなければ、8番に入った清宮には打席が回ってこない。守備だけで終わる可能性もあったのだ。
結果的に、清宮にも打席が回ってきたが、この守備に就かせてから打席に入らせた栗山采配について、こんな声も聞かれた。
「やっぱり、栗山監督の愛情。この一言に尽きます。途中出場でもっとも難しいのは、代打。試合の流れみたいなものがあって、それを読むのが難しいんです。いったん、守備に就いてから打席に入ることかできたので、清宮は試合の雰囲気、流れをつかんでいました。流れをつかむ機会を与えた栗山監督の優しさですよ」(プロ野球解説者)
“清宮への配慮”は、他の日本ハムナインも感じ取っていたという。
9回、清宮は甘いコースに入ってきた直球を打ち返し、初打席初安打をマークした。清宮は一塁ベース上で笑顔を見せたが、他選手は淡々としていた。「この程度で喜んでいるようでは…」と思っていたのではないだろうか。
清宮は右肘の手術で大きく出遅れている。二軍スタートというのが周囲の一致した意見だが、
「正三塁手を予定して獲得したビヤヌエバの打撃がイマイチ。清宮にもチャンスが出てきました」(前出・同)
三塁に指名打者候補の近藤などが入り、指名打者で清宮が入る可能性もあるという。
栗山監督も「一軍で使う」つもりがあるから、守備から試合に出させたのだろう。こんな風に指揮官に気を遣わせる状況を卒業しなければ、本当の意味での飛躍はない。(スポーツライター・飯山満)