男は11日午後3時半頃、垂水区の路上で対向車線のガードレールに衝突する事故を起こす。この対応にあたった警察官が疑いを持ち、検査したところ、飲酒が発覚。道路交通法違反(酒酔い運転)の現行犯で逮捕した。男は容疑を認めているという。
飲酒運転は重大事故を引き起こしており、厳罰化している。そのような中で、酒を飲み自動車を運転する行為は「ありえない」と言わざるを得ないが、さらにネットユーザーを驚かせたのはその職業。男は神戸市中央区のアルコール依存症専門クリニックで院長をしているというのだ。
仮に本当だとすればありえない話。普段治療を受けている依存症患者にとっては裏切られた気分になってしまう。それだけに、ネットユーザーからは「ありえない」「本当だとすればとんでもない話だし、院長を辞めるべき」「アルコール依存症を食い物にしていたのでは」など怒りの声が相次いでいる。
今回の事件について、アルコール依存症の家族を持つA氏はこう語る。
「アルコール依存症は一般の精神科では敬遠されてしまうことが多いんです。また、専門治療をする機関でも例外もありますが、基本的に『アルコール依存症』であることを認め、治療する意思を示さないと治療してもらえません。
私の妻がアルコール依存症になったのですが、当初本人がそれを認めず治療の意思を示しませんでした。そのせいで病院に行っても帰されてしまい、苦労しました。
そんな時、ある専門病院を紹介されました。そこの院長が粘り強く治療するよう説得してくれて、治療の意思を示すようになり、入院し治療することができたんです。
その時とても助かり、アルコール依存症専門医は神様に見えました。仮に逮捕された男がアルコール依存症なら、多くの患者を助けてきたのでしょうから、同情したい部分もあります。
飲酒運転は今や重大犯罪ですし、人を殺す可能性もあります。然るべき罰は受けるべきだと思います。しかし、仮に多くのアルコール依存症患者と家族を救ってきた院長なら、その仕事を続けてもらいたい気持ちもありますね」
今回の事件が多くの人を裏切ったことは間違いないだろう。