提訴した業者は、事案が発生した福岡県志免町のアパートを施工した大和ハウス工業の孫請け会社として、受水槽の配管工事などを受注。その一部を設備工事業者の被告2人に委託した。
委託を受けた男2人は、2018年9月、1人が受水槽に入り、水泳パンツで泳ぐ様子をもう1人が撮影する暴挙に。そして、2019年に動画が拡散され、事態が発覚。テレビやネットで取り上げられ、日本国民を怒らせる事態に発展したことは周知の通りだ。
この後、2人は7月に偽計業務妨害容疑で逮捕され、8月に不起訴処分に。しかし、関係各社の損害は大きく、大和ハウスは事件に伴う洗浄作業や入居者の慰謝料約1085万円を負担することになり、同社から仕事を請け負った水道設備工事会社が支払ったという。
さらに、この水道設備工事会社は取引先から新規工事を打ち切られ、7400万円の利益を失ったと主張。そして、その利益の一部である2000万円を、作業を受託し、動画を撮影・投稿した2人に損害賠償請求した。
5日の第一回口頭弁論で、被告側は「泳いだあと排水して洗浄しており実害はない」「取引停止との因果関係も不明」と、請求棄却を主張。今後裁判で、損害賠償責任の有無を争っていく模様だ。
受水槽で泳ぐというあり得ない行為をしながら、請求棄却を求めた被告に、「因果関係が不明なわけがない。往生際が悪すぎる」「もし因果関係がないなら、なぜ大手取引先から工事が受注できなくなったのか説明しろ」「実害がないはずがない。洗えばいいという問題じゃないだろ」と怒りの声が相次ぐ。そして、「徹底的に賠償させるべきだ」という声が噴出している状況だ。
世間を震撼させ、設備工事業者全ての信頼を失墜させたと言っても過言ではないこの事件。裁判の行方に注目したい。