「菅野の隣で、新外国人投手のビエイラが投げていました。けっこう速いボールを投げていました。球団スタッフが測定したところでは150キロを超えていたそうです。前評判通りの剛速球投手だということは分かりましたが」
ライバル球団のスコアラーがそう評していた。
このビエイラは手薄な中継ぎ投手陣を補うために獲得された。しかし、メジャー通算1312安打のパーラ、原辰徳監督の期待も大きい右腕・サンチェス、先発ローテーション入りの実績を持つメルセデス、クローザーが予定されているデラロサもいる。「一軍に残れるのかなあ?」という立ち位置である。
菅野の次に一軍登録も厳しい外国人投手が目立つようでは、やはり、今季の巨人投手陣は「厳しい」と言わざるを得ない。
また、菅野の「新投球フォーム」だが、一部報道によれば、ブルペン投球のボールを受けた小林誠司捕手が「鋭角になったカーブの軌道」を称賛していた。しかし、昨季の菅野の不振は、直球の威力が落ちたことにある。その原因は長年の勤続疲労とされており、「新フォーム=剛速球の復活」となるかどうかは、オープン戦が始まるまでは分からない。
菅野に関して、こんな評価も聞かれた。
「左肩の開きがなくなったので、成果は期待できると思う」(プロ野球解説者)
新フォームは“変則モーション”と言っていい。下半身が制止したまま、上半身の腕だけを動かす。右手をグラブの中に入れ、前に出す。その両腕を胸のところに戻してから、左足を上げる。チーム関係者によれば、オフの間、九州のスポーツトレーニングの専門家を訪ね、菅野の体に適した動き方をいっしょに模索し、この新フォームに辿り着いたという。野茂英雄氏のトルネード投法、振りかぶった左足を胸まで上げるノーラン・ライアン元投手のように、野球少年がマネしたくなるようなカッコ良さはない。
しかし、小林捕手の「カーブが良くなった」というコメントに、敏感に反応する者もいた。メジャーリーグのスカウトだ。
「メジャーリーグではカーブが見直されています。打者のタイミングを外す緩急のカーブ、鋭角に曲がっていき、空振りを取るカープなど様々ですが、メジャーリーグで一流と称されるピッチャーは、みんなカーブを得意としています」(ア・リーグ中部地区スカウト)
菅野も今オフのメジャーリーグ挑戦がウワサされている。同スカウトによれば、カーブを武器にしつつある新しい菅野を「再調査しなければならない」と話していた。
巨人の弱点は、先発投手のコマ不足だ。メジャースカウトの評価を上方修正させることができればいいのだが…。連覇のカギは菅野の復活に掛かっている。(スポーツライター・飯山満)