テレビ番組としては本末転倒の“詐欺テク”だ。そんな姑息な手段を用いず、正々堂々と「出演料0円」をうたってしまう番組が、テレビ東京の土曜日深夜(2時10分から)に誕生した。「今日からやる会議」だ。メインは、さらば青春の光(森田哲矢&東ブクロ)とカミナリ(竹内まなぶ&石田たくみ)。2組のギャラはビジネスの成功報酬。つまり、出演料は0円だ。
ガチのビジネス会議。ビジネスで成功した賢者へのインタビュー。この2本柱を中心に、2組4人がテレ東社員とともに新しいコンテンツビジネスのプロジェクトを進め、挑戦する内容だ。
ちなみに、初回オープニングの舞台は、新社屋のデジタル事業局。就業時間内で、パソコンを叩く音が鳴り響く中、4人はコンビ名と芸名が書かれた画用紙を首からかけた。この画用紙は通常、カメラリハーサルでカメラ位置や照明を見るために、スタッフがタレントに扮して首からかけるもの。偽物の御用達であって、本物が身に着ける代物ではない。しかし、そこは天下のテレ東。予算がない。使えるものは全て活用、のポリシーを忘れず、画面上下に出るテロップさえ手書きだ。
いまだかつてないサービスや商品を提供したい――。その志でさらばが起用された理由は、すでに新時代のビジネスモデルで成功例を生み出しているからだ。さらばは、2人とマネージャーだけによる個人会社「株式会社ザ・森東」を経営。クラウドファンディングによって集まった資金で多くの企画に挑戦して、YouTubeで動画配信。それがテレ東の目に留まったというわけだ。
となれば、プラン会議でさらばから出るアイデアに期待がかかる。その裏切らないのが、森田だ。まずは、日本屈指の歓楽街である東京・歌舞伎町で豚汁販売を計画。さらに、「ザ・ゲリラ」という風俗店の構想を口にした。内容は、こうだ。
まず、顧客が来店。まとまった金を渡すと、いったん帰宅。そこから普段通りの1週間を過ごすが、店舗側はGPSで顧客の所在場所を把握している。そこで、街頭アンケート員に扮した女性が話しかけ、「お兄さん、かっこいいですね。ホテル行きません?」と口説き始め、そのまま2人きりに……という流れのゲリラだ。
共鳴したのは、ビジネス賢人として登場した株式会社幻冬舎の敏腕編集者で実業家の箕輪厚介さん。「余韻ビジネスとして、プレイ時間じゃない時間を売ってるってことですよね。天才だ!」と褒め称えたが、テレビ局が風俗を推進するわけにはいかずボツ。しかし、森田の発案はおしなべていい。
4人はビジネスを具現化して、報酬を手に入れることができるのか。ドキュメンタリーとしても楽しめそうな新番組だ。
(伊藤由華)