全国津々浦々に独自性の高いラーメンがあることから、ファンが多く、中にはラーメンに並々ならぬこだわりを持っている人も。ファンにとってはこだわりを持つことは楽しみの1つだろうが、店にとっては、個人に寄せるような店舗運営はできないため、「厄介」と感じることがある。2015年、そんな厄介なこだわりが、事件に発展したことがある。
事件が発生したのは、兵庫県明石市のラーメン屋。2015年11月8日、酒を飲んで来店した客の男(当時32)がラーメンを注文したところ、突然怒り出し、店長と口論になる。店長が再三再四退去を促したが男は応じず。さらに警察官の説得も応じることはなく、3時間居座ったため、不退去罪で逮捕された。
なぜ、この男は店主に激怒したのか。それは彼の「こだわり」だった。注文時、店の人間に対し、「ギョーザを先に出すように」とオーダーしており、店側がそれを守らずラーメンを出したため、怒ったのだ。
一般人としては「どっちでもいいじゃねえか」と思ってしまうが、男にとってはかなり重要なことだったようで、激怒する事態に発展する。そして、行き過ぎた「こだわり」の末路は、不退去罪で逮捕という、人生に一生の汚点を残してしまうものとなった。
2015年の事件発生時、ネット上でこの男の「こだわり」が議論になる。大方のネットユーザーは「どちらでもいい」「つまらないことにこだわってバカみたい」「子供じみている」と批判の声を上げる。
一方で、ラーメン好きからは、男の行動については不適切としながらも、「ギョーザはラーメンより先に出すもの」「ギョーザを食べてからラーメンという気持ちはわかる」と男の「気持ち」は理解できるとする声もあった。
男はこだわりを持っていたのかもしれないが、店側にも調理の順番など都合がある。自身のこだわりを店舗に押し付け居座る行為は、不適切と言わざるを得ない。
文 櫻井哲夫