この会見後、日本ハム球団は、翌11日から金子のレプリカユニフォームをオンラインで先行予約販売すると発表。これには古巣のオリックスファンからも「早い」という驚きの声とともに、「羨ましい」というため息にも似た声が、ネット上に多数漏れていた。日本ハムは来シーズンもユニフォームのデザインは変更しないのが、スピード販売が可能な理由で、昨年はDeNAが阪神からFAで移籍した大和の入団に合わせて、同様の対応を見せている。しかし、トンキンの退団が発表されたのが6日であることを考えると、これは明らかに早い。日本ハムがスターを作り上げることに長けている球団というのは、こうした面からも伺えるのではないだろうか。金子の会見の表情を見ても栗山監督が同席して、記念撮影を行うことで、「スゴイ選手が北の大地にやってきた」という雰囲気を醸し出していた。日本ハムOBでメジャーリーグ・カブスのダルビッシュ有は、日本ハム球団公式アカウントの金子入団を報じるツイートを「ユニフォーム姿違和感ないなぁ!」と、引用ツイート。古巣へ金子が入団することを歓迎している。
今シーズンは3位となり、クライマックスシリーズに進出した日本ハムだが、投手では今シーズン10勝を挙げたマルティネスが、野手では2016年の本塁打王でファンにも親しまれてきたレアードが自由契約になっており、残留の可能性は流動的な情勢。そんな中、5日に前カブスのハンコック投手を、7日にプロ2年目の2016年に、台湾プロ野球史上初の年間200安打を達成と同時に歴代最高打率.414を記録し、翌17年には3冠王に輝き、今シーズンも打率.351、17本塁打、84打点を記録するなど“台湾の至宝”の異名を持つ、Lamigoモンキーズの王柏融(ワンポーロン)外野手をオリックスなどとの争奪戦を制して獲得。11日には、高梨裕稔投手、太田賢吾内野手と、ヤクルトの秋吉亮投手、谷内亮太内野手との大型トレードも発表され、日本ハムにしては珍しく、このオフは積極的に補強を行っている。特に今シーズンまで長きに渡りオリックスのエースを務めた金子と、25歳にして台湾の主砲である王柏融の獲得は目玉といってもいいだろう。
2023年3月の新球場開業に向けて、日本ハムという球団は、さらに生まれ変わろうとしている。そこに向けた過程において金子弌大という選手は、北海道移転時に新庄剛志氏を獲得したように、どうしても「必要」だったのだろう。金子は「必要とされるのはありがたいこと」と先月の25日に話していただけに、日本ハムの速攻かつ猛烈なアタックは胸に響いたはず。古巣ファンからは「こんなに早く出されたら買ってしまう」という声も多数聞かれており、贔屓球団に関係なく、昨年、中日に入団した松坂大輔のように、金子のユニフォームがヒットするのは間違いない。
取材・文 / どら増田
写真 / ©︎北海道日本ハムファイターズ