北海道日本ハムファイターズの清宮幸太郎内野手(19)が初の契約更改に臨み(11月29日)、300万円増の来季年俸1800万円(推定)で契約した。これで、日ハムの看板選手の年俸ランキングも決定した。斎藤佑樹(30)は230万円ダウンの1600万円、ドラフト1位指名の吉田輝星投手(17=金足農)は、1000万円で仮契約している(11月15日)。
「甲子園を沸かせた吉田クンが初年度年俸上限の1500万円に届かなかったのは、ちょっと驚きました。斎藤に関しては『甘い』というのが正直な感想です。30歳になった大卒投手が勝ち星ゼロ、シーズンの大半を二軍で過ごしたわけですから」(プロ野球解説者)
吉田が仮契約を交わした直後、交渉を担当した大渕隆スカウト部長は「1番に指名したわけではないし、球団として『足りない部分がある』という評価は金額にあらわれている」と、厳しいコメントを発していた。ドラフト会議では1回目の入札抽選に失敗、2度目の入札で指名したのは事実だが、晴れの席で“喝を入れる”のは異例である。
負けん気の強い吉田の性格を知ったうえでの発言だが、こんな見方もされていた。
「吉田クンが上限の1500万円で仮契約していたら、斎藤よりも『上』になる可能性がありました。斎藤の下がり幅は周囲が予想していたよりもはるかに小さいし、球団が配慮したんじゃないかなあ…」(球界関係者)
夏の甲子園を沸かせたスター同士、斎藤の予告先発が告知された試合はたしかに観客動員数も多い。先にプロの世界を経験してきた斎藤のメンツも考慮されたのかもしれない。
「来年も勝ち星ゼロとなると、日ハムも決断するんじゃないかな? あと2、3年早ければ、トレードに応じる球団もあったと思いますが、もうどこも獲らないでしょう」(前出・同)
おそらく、契約更改の密室で“キツイ通達”をされていたはずだ。公の場で喝を入れられた吉田のほうが期待されているのだろう。
しかし、吉田がエースに成長するには斎藤のサポートも必要になるという。
「吉田が夏の甲子園で881球も投じた時、連投、投げ過ぎの経験者として、斎藤にもマイクが向けられました。投げ過ぎによるリスクだけではなく、プラスに転じる部分など、マスコミ嫌いの斎藤があんなに饒舌になったのは初めて」(スポーツ紙記者)
吉田も成長できなければ、プロの世界では通用しないだろう。その意味では斎藤は失敗したかもしれないが、話を聞けば参考になる部分も多いはずだ。また、斎藤は故障も経験している。その点についても、こんな見方がされている。
「今年の清宮は小さな故障を繰り返していました。休むほどではないが、どこかを痛めてそこをかばっているうちに別のところを痛めてしまうような…。こんな言い方は難だが、早実は練習量の多い学校ではありません。プロ入り前から体力面が懸念されていましたが、それは的中したと言っていい」(前出・関係者)
努力と無理は紙一重だ。早実の先輩として、斎藤から清宮に伝えられるものがあるのではないだろうか。
「斎藤ですが、今から先発ローテーション入りして2ケタ勝利しろなんて言っても、無理。二軍ではリリーフもやっているが、中継ぎでいいからチームに貢献できれば周りの評価も変わってくる」(前出・プロ野球解説者)
斎藤の危機的状況は変わらないが、現役継続が許された意義も考えてもらいたい。(スポーツライター・飯山満)