正直、同大会の世間での認知度は極めて低く、野球ファンでさえ、「『世界野球プレミア12』って何?」「WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)と、どう違うの?」との声がほとんどのようだ。
WBCは単純に野球世界一決定戦で、主催するのは、MLBと同選手会が立ち上げたWBCI(ワールド・ベースボール・クラシック・インク)で、MLB主導の大会。
一方、「世界野球プレミア12」の主催者は五輪への復帰を目指すWBSC(ワールド・ベースボール・ソフトボール・コンフェデレーション=世界野球ソフトボール連盟)。
参加国の決め方は、U12、U15、U18、U21、トップが出場するWBSC主催大会、WBSCの認定を受けた国際試合の成績をもとにポイント化し、その上位12か国に出場権が与えられる。つまり、出場国選定に当たり、トップチームだけではなく、アンダー世代の成績が加味される点が、WBCとの大きな違い。選考対象となるランキングは14年11月26日時点のものが採用された。
今年が第1回となるが、WBC同様、4年に1回開催される予定。6か国ずつが2グループに分かれ、総当たりリーグ戦を行い、各グループの上位4か国ずつが準々決勝に進出し、トーナメントで優勝を争う。
今大会は日本と台湾の共同開催で、1次ラウンドの日本対韓国、準決勝(東京ドーム)、3位決定戦(同)、決勝(同)が日本で、1次ラウンドの他の試合及び準々決勝が台湾で行われる。
参加国はグループAが、台湾(ランキング4位)、キューバ(同3位)、オランダ(同5位)、カナダ(同7位)、プエルトリコ(同9位)、イタリア(同11位)。グループBが、日本(同1位)、アメリカ(同2位)、ドミニカ(同6位)、韓国(同8位)、ベネズエラ(同10位)、メキシコ(同12位)。
そこで気になるのが、各国の派遣する選手のレベルだ。日本はほぼベストメンバーで臨むが、MLBはメジャー40人枠に登録されている選手は派遣しないため、マイナー中心の選手構成となる。
中南米のドミニカ、プエルトリコ、ベネズエラはMLBの意向もあり、ウインターリーグの開催時期と重なるため、かなり厳しいメンバー構成。“野球大国”キューバは、有力選手が次々に亡命した側面もあるが、ベストとはとてもいいがたいメンバーとなっている。
本気で臨むのは、日本、韓国、台湾のアジア3か国くらいのもので、飛車角落ちで挑む北米、中南米、キューバを相手に、世界一となっても、果たして価値があるものかどうか疑問が残る。
それでも、日本国内では「野球国力世界一決定戦」をうたう大会には、注目度が高いようだ。11月5日、6日に行われた日本対プエルトリコの強化試合こそ、その視聴率は、5日(テレビ朝日)が8.9%(数字は以下、すべて関東地区)、6日(TBS)が9.9%と1ケタ台だったが、8日(テレビ朝日)の韓国との開幕戦は19.0%と高い視聴率をマークした。裏で放送された日本テレビの「ザ!鉄腕!DASH!!」が23.3%、「世界の果てまでイッテQ!」が22.3%と、さらに高い数字を記録しただけに、日韓戦の健闘ぶりは大いに評価されるところ。
この後、日本は1次ラウンドで、11日にメキシコ、12日にドミニカ、14日にアメリカ、15日にベネズエラと対戦し、準々決勝進出を目指すが、他国の派遣選手の実態を知ったら、世の高い関心は継続するだろうか?
(落合一郎)