菌やウイルスが見えて、会話までできちゃう種麹(たねこうじ)屋の息子・沢木惣右衛門直保(中村優一(D-BOYS))は、農大の農学部1年生。菌の名教授・樹慶蔵(黒沢年雄)は沢木のもつ不思議な能力に注目するも、大学院生で助手の長谷川遥(加藤夏希)は納得がいかない。そこに沢木を使って何とか金儲しようとする邪悪な先輩たち、美里薫(西田幸治・笑い飯)、川浜拓馬(木村明浩・バッファロー吾郎)が近づき、様々な騒動に巻き込まれていく。
菌や発酵についてのお勉強的な一面と、のどかな農大風景、なぜかボンデージ姿の加藤夏希や「秘密結社鷹の爪団」並みのCG、とにかくオタク心をくすぐるドラマ。チャッピー的にはおバカっぽい沢木役の中村優一くんが、みんなが寝静まった後に菌たちと遊ぶ姿に胸きゅん(古い)だけど。それから、笑い飯の西田さんが、ご飯をペッペしてサル酒みたいに口噛み酒(だ液により米が発酵してお酒になる)作ってるのには笑っちゃったわ、笑い飯だけにね。
ここで登場するバイオに限らず日本の研究技術って何でもすごいのに、研究者に対する扱いがお粗末なゆえ優秀な人材がどんどん海外に流れたり、必要不可欠な研究費がレンホウさんに仕分けされたり、貧乏な国立大学の研究用ビーカーがワンカップのビンだったり(実話よこれ)。実は日本の理系大学を取り巻く現状はけっこうヒドイ。しかも、大学を卒業しても就職が無いなど、はっきり言って彼らの未来は明るくないのよ。でも、こんな楽しそうな「もやしもん」を見て、発酵学に惹かれ、農大目指す子って、けっこう多いのかもね。日本もまだ捨てたもんじゃないわ。
ミステリアスだけど人徳のある老教授や、色っぽくて気の強い女の助手、やっかいな先輩、かわいい同級生など、70〜80年代の古い学園ドラマみたいな設定に酔うも良し、みんなが生きてる世界にくまなく存在する菌や発酵について楽しく学ぶも良し、学生が報われない日本の現状を憂うも良し、思いのほか深い30分を楽しんで。それからオープニングテーマの「噛むとニャンニャン」とはぜんぜん違う、たむらぱんの「SOS」と、SEAMOのエンディングテーマ「海へいこう」がかなりオシャレ。このあたりが、若者ウケする「ノイタミナ」枠ならではなのかもね。(チャッピー)