「恋空」のパクリを疑惑を報じているのは、きょう発売の「週刊文春」。同誌によると、そもそも「恋空」の作者である美嘉という女性が実在するかどうかも疑う人がいるそうだ。
ケータイ小説「恋空」は昨年10月にスターツ出版から発売され、今年の書籍売り上げランキングの単行本・文芸部門(トーハン)で第1位。05年12月に、携帯電話の無料ホームページ作成サイト「魔法のiランド」の小説コーナーで掲載が開始され、延べ読者数が1200万人で、書籍化する前から絶大な人気があったという。
さて、「恋空」のパクリ疑惑だが、単行本発売直後に浮上。なんでも昨年7月にKKベストセラーズから発売された井上香織氏の「さよならの向こう側」という小説にストーリーが酷似しているそうだ。
以下、同誌が指摘している類似点を抜粋すると、
●主人公がレイプもしくはレイプ未遂の被害を受けており、恋人とのセックスの際にその記憶がフラッシュバックする。
●主人公と恋人が知り合った時期に「放課後の高校図書館」が登場する。
●主人公と恋人だけの特別な存在を供養するための「思い出の場所」がある。
●主人公が死んだ恋人を思う場面で、二羽の生き物が飛んでいるシーンがある。(「さよならの向こう側」は蝶、「恋空」は鳥)
など。ほかにも類似点が数多く指摘されており、要は全体のプロットがほとんど同じなのだ。
このパクリ疑惑はフジテレビが「恋空」の映画化をスターツ出版に打診したのと同時期に、「さよならの向こう側」の映像企画がフジに持ち込まれ、担当プロデューサーが話の類似に気づいたのがきっかけ。「さよならの向こう側」側がスターツ出版、「魔法のiランド」に抗議したが、最終的にTBSが「恋空」を映画化することに決まった際、このトラブルも解決していたという。その背景には有力芸能事務所の仲裁があったようで、パクリ疑惑は結局うやむやに終わっている。
最近、やたらとはやっているケータイ小説だが、同誌で出版関係者が言うには「内容はレイプ、難病ものばかり。投稿サイトだけならまだいいが、出版する場合は、出版社が事前に入念なチェックをする必要がある」。
そもそも小説「恋空」は作者・美嘉の実話というのが売りだったはず。それがこんなに話が似ているというのは、なんとも不思議な話ではある。