ようやく、素質馬ハロースピードが軌道に乗ってきた。
新馬→マリーゴールド賞を連勝した当時はクラシック候補と騒がれたが、その後がサッパリ。桜花賞は賞金不足で出走できず、オークス、秋華賞は(11)(8)着と、クラシックは散々な結果だった。マリーゴールド賞で下しているピンクカメオ(2着)、クーヴェルチュール(4着)がその後、それぞれGI、GIIIを制している事実が、皮肉にも同馬の体たらくを表す格好となってしまった。
だが、ハロースピードは周囲から聞こえてくる「早熟」の雑音を自らの力でさえぎった。秋華賞後の2戦は徹底した末脚温存策で(3)(4)着。そして、前走・初音Sでは最後は差し返す勝負根性を見せ、一昨年の7月以来の勝利の美酒を味わった。
「考えてみれば3歳の時は調教で力んで走っていて、レースでも掛かり気味だった。ただ、今はちゃんと折り合えるし、何より落ち着きがあるよね。精神的に大人になったということなんだろう」と津曲助手は精神面の成長を強調した。
1週前追い切りはポリトラックで5F62秒9→49秒5→37秒4→12秒6(強め)と文句ない好タイム。これならデキ落ちの心配はいらない。
「隣の馬から見てたけど、いい動き。中山の3、4角をうまくさばければの注文はつくが、ここはチャンスじゃないかな」
父は晩成型だったマヤノトップガン。浮上のきっかけをつかんだ4歳牝馬が再びスターダムへとのし上がる。