終わってみれば伊藤正厩舎のワン・ツーフィニッシュ。「2頭出しは人気薄から」の格言通り、4番人気のネヴァブションが僚馬の連覇を打ち砕いた。
前半1000メートル61秒5のスローペースのなか、道中は3番手の絶好位。直線は息の長い末脚でエアシェイディ、トウショウシロッコの追い込みを封じた。
これが今年初めての重賞勝利となった横山典騎手は「切れ味勝負では分が悪いので前につけた。勝春の馬(キングストレイル)を交わすまではモタモタしていたが、並んでからが強かった。ずっと関西馬に勝たれていたので、関東馬で勝てて良かったね」と素直に喜びを表現した。
僚馬エアシェイディと明暗を分けたのは、道悪の巧拙だった。発表こそ良だったが、午前中までは稍重。さらに、最終週の荒れ具合を加味すれば、結果的にかなり力が要求される馬場状態だった。伊藤正調教師も「シェイディの切れ味が殺された。一方でネヴァはこういった馬場は得意。今日はその差が出たのだろう」と分析している。
ただ、ネヴァ自身が復調気配にあったのも事実。骨折明けを3戦し、0秒7→0秒5→0秒2と一戦ごとに勝ち馬との差を詰めて臨んだ一戦。デキは3連勝でGII・日経賞をぶっこ抜いた一昨年の状態に近づきつつあった。「休み明け4戦して確実に良くなっているが、まだ良くなる」と指揮官は、お釣りを残した中での復活Vに大きな価値を感じていた。
次走は未定だが、春の最大目標は天皇賞・春(5月3日)と公言済み。天皇賞・秋をターゲットとするエアシェイディとの“2枚看板”でW盾制覇というスケール大の野望が、にわかに現実味を帯びてきた。