「3Aではエース扱いですよ」
米国人メディアの1人がそう言う。
昨季はマイナーながら、10勝をマーク。2ケタ勝利に到達すれば、メジャー昇格のお声も掛かりそうなものだが、井川に限っては1回もなかった。当人も昨年オフに帰国した際、「来季(平成22年)はメジャーで投げることが第一」と意気込みを語っていたが、ヤ軍・ジラルディ監督にその気はないようだ。現地情報に詳しいジャーナリストによれば、井川のピッチングには『欠点』があり、それが解消されていないという。
「真っ直ぐにも力があるし、変化球のキレも平均点以上です。もし、メジャーの先発ローテーションを任されたとしたら、ある程度の数字は残せると思う。メジャー昇格のお声が掛からない理由? セットポジションになったときの防御率が、極端に悪くなるからなんです」
セッドポジションになると、ストライクが入らなくなる。直球でカウントを整えようとしたところを狙い打ちされるそうだが、先発投手陣の強くないヤ軍が井川を試そうとしないのは、もったいない話だ。
しかし、井川は口でこそ「メジャー昇格」と語っていたが、周囲にはさほど焦っているようには見えないという。
06年オフ、ポスティング制度で『5年20億円』で契約。ここまでのメジャー通算成績は2勝4敗(16試合)。井川は『年俸4億円』が保証され、今日までマイナー調整を続けてきたことになる。
「ヤンキースも井川の放出を他球団に持ち掛けています。実際、井川を評価している球団もあるしね。トレードがまとまらない理由は、井川の高額年俸がネックになっているからです」(前出・ジャーナリスト)
日本の関係者によれば、昨年オフ、古巣・阪神と巨人が『井川獲得』に動いたという。その阪神にマリナーズから移籍した城島健司を見れば分かる通り、日本帰還は決して『恥』ではない。より多くの出場機会を得るため、古巣帰還を真剣に考えても良さそうものだが、井川は即答で断ったという。
「井川は米国永住権も申請しています。日本球界に戻る気はないのでしょう」(同)
ヤンキースとの4年契約が切れる今オフ、井川は大減俸も覚悟のうえで先発ローテーション入りが可能なメジャーチームを探すという。その潜在能力を認める球団は少なくないが、ヤンキースで這い上がってやろうとする気構えがなければ、交渉は実現しないだろう。
「4億円のマイナー暮らしに居心地が良くて、永住権を申請したんじゃないか(笑) 向こう(米国)で通用しない理由を聞いたら、マウンドの固さがどうのって、文句ばかり言っていたし」
エンゼルス移籍後も愛される松井を見ても奮起しない井川に、阪神関係者はそんな皮肉を浴びせていた。フンバリどきである。