今年のチームは、大型連勝は交流戦またぎの5連勝だけだが、逆に大型連敗も引き分けを挟んでの5連敗が2回と、低迷が続いている2015年以降では最も勝敗の波が少ない。今月も4連勝から4連敗すると、また4連勝をして“潰し合っていた”上位との差を埋めてみせた。借金も「5」にまで減らしたが、ここから足踏みが続くのも、今年のチームの特徴の一つと言っていいだろう。借金「5」と最下位からの脱出はすんなりと決めておきたい。
「チーム全体が諦めないという気持ちでやっている」
西村徳文監督は、どんなに点差が開いていても「諦めない」気持ちで、時には試合をひっくり返してしまうチームに成長した選手たちを鼓舞しつつ、常にファンの存在を頭の中に入れている。本拠地で勝利を収めた試合後、ファンに対してのコメントを出す西村監督の表情は常ににこやかだ。それだけに、負けた試合では「お客さんに失礼」「来ていただいた皆さんのためにも勝たなきゃいけなかった」「ファンのみなさんに申し訳ない」と、ファンに向けての謝罪コメントをほとんど欠かさない。監督に就任した昨年オフの秋季キャンプから、西村監督は「ファンファースト」を掲げて、自らサイン会を提案。ホテルに戻る際も車を待たせてでも、「1人でも多くのリクエストに応えてあげたい」とサインを書きながら球場を後にする場面が何度も見られた。これは、今年の春季キャンプでも見られた光景で、近年の監督には見られなかったことである。
アグレッシブさをテーマに掲げた西村オリックスは、8月に入りチーム打率.298と、貧打と言われていたシーズン前半戦が嘘のように打線が爆発している。“神童”山本由伸の離脱など投手陣は手薄になっているが、吉田正尚、ロメロを始めとした超攻撃型打線と、竹安大知、K-鈴木、張奕らチャンスを掴んだ若手先発陣の踏ん張りにより、再び借金「5」と最下位の壁を打破する機会が巡ってきた。由伸、榊原翼、澤田圭佑ら離脱組も、「チームがいい調子」であることが刺激になっているという。彼らが戻って来るであろう9月の最終決戦まで、現メンバーで全力を出し切って、今年は5年ぶりに真のミッションオクトーバーを遂行してもらいたい。
(どら増田)