首位である福岡ソフトバンクとのゲーム差も、10.5ゲーム差の状況がしばらく続いていたが、8.5ゲーム差まで縮まり、2位の日本ハムとは5ゲーム差、CS(クライマックスシリーズ)出場圏内である3位の東北楽天とは4ゲーム差と、残り40試合になったが、ここから下克上する可能性は大いにある。3日にヒーローインタビューを受けた“神童”山本由伸の「僕たちはまだ諦めていません」という発言から、7月度の月間MVPを獲得した“エース”山岡泰輔、“マッチョマン”吉田正尚の猛牛三銃士を中心に、選手の口から「諦めてない」「まだイケる」という声が聞かれるようになったのも、この快進撃を続ける要因と言ってもいいだろう。
8日の試合では、野手として育成で入団し、投手に転向してから支配下登録されたプロ3年目の張奕(ちょうやく)が、3試合目の登板にして、プロ初先発、初勝利を飾った。6回を被安打2、無四球、失点1の好投を見せた張は「ここまでのピッチングができるとは思っていなかったので、自分でも少しびっくりしています」と降板後、自身の投球を振り返っているが、試合後のヒーローインタビューでは「(母方の従兄である巨人の陽岱鋼の背中を見て)日本に来て良かった」と感無量の表情を見せていた。張の好投は先発の台所事情がまだ厳しいチームにとって大きい。打線はモヤ、ロメロといった中軸が正尚とともに安定感を増しており、福田周平、中川圭太、西野真弘、安達了一が機動力を使った攻撃を的確に出来るようになったことで、西村徳文監督がチームスローガンとして掲げている“アグレッシブ野球”がようやく形になってきた。
後藤駿太、小田裕也、宗佑磨、佐野皓大の外野陣も鉄壁で、小島脩平も代打で良い仕事をしている。あとは、開幕から福田とともにチームを引っ張ってきた西浦颯大が戻ってくれば完璧だ。シーズンのうち、最も疲れが出ると言われる8月を、オリックスは若い選手中心のチームなだけに、選手の若さでカバー出来るのは他球団に比べると優位。10日からは真夏の9連戦が始まるが、ここで大きく勝ち越すようなことがあれば、下克上の可能性はかなり高まり、ミッションオクトーバーの文字も見えてくる。この9連戦はオリックスにとって、9月まで勝負出来るかどうかを左右する戦いになるはずだ。
(どら増田 / 写真・垪和さえ)