ラミレス監督は「得点圏打率は低いが、出塁率は高い」筒香の現状を鑑みて、2番が最適と判断し、本来の姿に戻れば再び4番に戻すプランだと明かしている。
しかし、映画「マネーボール」で脚光を浴びたデータに重点を当てた野球理論「セイバーメトリクス」が確立されているメジャーでは、「2番打者最強説」が球界を席巻している。概論ではあるが、先発ピッチャーは立ち上がりが不安定になることが多い傾向があるため、初回から能力の高い打者に打順が回ることに重点を置くことで、一気に大量得点を奪い、試合を優位に進める戦略。実際、ベイスターズも、昨年から2番にネフタリ・ソトや宮崎敏郎を据えることは多く見られた。他球団を見渡しても今季、現在首位をひた走るジャイアンツは、坂本勇人を、メジャー理論を取り入れる栗山監督のファイターズも、大田泰示を2番に置き、結果を出している。2015年にセ・リーグ制覇を果たしたスワローズも、2番に川端慎吾を定着させ、バントをせずに大量得点を奪う攻撃で成功した。
ベイスターズは2004年、山下大輔監督が鈴木尚典を2番に据える攻撃型打線を試みたが、それまで主に3番を任されることが多かった鈴木には、ルーティンワークなどが合わないなどの問題もあり、頓挫している歴史もある。しかし、今のところ筒香は上手く適応している感があり、ラミレス監督の期待通りに高い出塁率を誇り、後に続くソトやホセ・ロペスが打点を挙げる好循環となっている。
常に「勝利のために」と口にする頼れるキャプテンは、チームにとって2番がベターな打順とラミレス監督が決断した以上、その役割で結果を出している。また、元々メジャー指向の強い筒香にとって、「2番打者最強説」は当然アタマに入っている事であろう。ひょっとすると、筒香が日本球界を代表する2番スラッガーとして定着し、輝きを増すこともあり得ることではなかろうか。
写真・取材・文 / 萩原孝弘