文楽協会への補助金は、昨年度から国立文楽劇場での本公演回数と「文楽鑑賞教室」の集客数に応じて増減させる制度が導入されている。初年度の2013年度は、大阪市が設定した10万5000人のボーダーラインには届かなかったものの、観客動員そのものは増えていた。
苦しいなりに次への展開が見えかけていたところへの廃止決定というわけだ。
ある技芸員はこう話す。
「皆の努力で入場者も増え、せっかくいいムードになってきたところに水をかけられたようなもの。結局、橋下市長は文楽を“単なる人形芝居”としか見ていなかったということですかね」
来年度からは、他の文化・芸術団体同様、個別公演ごとに補助金を申請する制度に切り替わるが、国や大阪府からの補助金と観客増もあり、今年単年度の決算は黒字が見込めるようだ。
そのため、今すぐ文楽がピンチというわけではないが、やはり不安要素は残るという。
「公演ごとの申請だと、今まで以上に観客動員数が重要になる。となると、どうしても人気狂言中心の公演になり、単なる興行になってしまう」(鳴物奏者)
「気になるのは今回の措置に伴う風評被害。『文楽は大阪市に見放されるような芸能』という見方が広がれば、これから文楽を見ようという人は少なくなる」(文楽協会関係者)
現在、文楽は11月公演が国立文楽劇場で上演中。初日の入りは、今回の影響があるのかどうかはともかく観客の入りは今ひとつ。
果たして逆風を跳ね返せるのか。