だが、女性たちから奪った現金は、総額でも6000円足らずであった。
そして、公判での検察の論告によって、竹村の犯行がレイプ目的だったことが明らかにされた。
浪費家で遊び好きだった竹村は、ギャンブルなどで何度も借金を繰り返し、その度に実父の援助などで返済していた。しかし、結婚後も借金を繰り返していたため、ついに妻に愛想をつかされ、小遣いももらえず、また夫婦生活も拒絶された。
そして、カネと性欲を満たす目的で女性を襲うことを思いついた。しかし、実際にはほとんどレイプ目的だったことはもはや明らかだった。
竹村の犯行は、強烈な殺意によって行われた。最初に襲われた18歳の学生は、路上に頭を強打させてから公園に引きずり込んで乱暴。その後、それからマフラーで何度も首を絞めて殺害した。
2度目のパート従業員の女性では、竹村は背後から包丁で襲いかかり、逃げ惑う彼女を何度も突き刺した。そして力尽きて倒れた女性を、「命だけは助けて」と懇願するのも無視し、さらに包丁で刺して殺害した。その刺し傷は11箇所にも及び、致命傷は女性の体を貫通するほどであった。
3人目の犯行では、会社員の女性を包丁で脅して公園に連れ込み、顔面を何度も殴って気絶させてから乱暴。その後、意識が戻った女性の体を包丁で5回も突き刺し、放置して見殺しにした。
公判で竹村は、一応は謝罪の言葉らしきものを口にはしたが、「取り調べで捜査側の考えを押しつけられた」「裁判長の質問にはとげがある」などと、捜査や裁判についての批判を延々と述べるなど、反省する様子はまったくみられなかった。そうした態度を裁判官などから指摘はされると、「謝罪はしているのに、どんな態度をとればいいんだ」などと開き直る始末だった。
こうした態度に、竹村は裁判官ばかりか自らの弁護士からも注意をうけるほどだった。
そして2006年11月13日、福岡地裁は「凶悪で残虐極まりない犯行」で「反省も見られない」として、竹村に死刑の判決を言い渡した。死刑判決に、それまでは横柄な態度だった竹村は、見るからに動揺していた。
竹村は控訴したが、2008年2月の控訴審でも死刑判決だった。(了)