この形、この色、そしてこの大きさをじっくりと味わって見ていただきたい。大きさは約20cm〜30cmはあると思われ、色はかなりどす黒い。形こそは人間のブツそのものだが、程よく剥けておりまさに鬼にふさわしいなかなか立派な形状をしているではないか。
この鬼の珍宝はかなり昔から桃太郎神社の宝物館に展示してあるもので神社の名物となっている。
由来によるとこの鬼の珍宝は犬に噛み切られ残されたものであるという。果たしてそんな巨大な犬が愛知にいたのか不明だが(いたらその犬こそ妖怪である)、ともかく奇妙な伝承が残っているのは事実である。
鬼は古くから日本人にもっともなじみの深い妖怪のひとつで、その名は平安時代にまでさかのぼるという。
本ミステリー記事でもたびたび紹介している「鬼のミイラ」や「鬼の頭蓋骨」「鬼の角」といった怪しげなブツは人間が鬼という存在を異様に恐れており、一種の怖いもの見たさでこのような鬼の遺物が残り、平成の世になっても貴重な品として展示されているという。
鬼の珍宝の正体こそ不明であるが、鬼が本当にいたと感じさせるロマン溢れる逸品であるのは間違いだろう(余談ではあるが、今回の鬼の珍宝、鬼の角、そして鬼のミイラを出会わせたら一体どうなるのだろうか? 現代に鬼が復活するのであろうか)
なお、「桃太郎神社」には珍宝以外にも鬼グッズとして「鬼の金棒」や「鬼のミイラ(の写真)」が展示してある。
愛知県に立ち寄った際は、話のネタになること請け合いなので、ぜひ足を延ばしてみることをおススメする。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)
【参照動画】
山口敏太郎の携帯ルポ 桃太郎神社
https://www.youtube.com/watch?v=x_gTLV1QX4g