ツアーは釧路のほか、大阪・梅田芸術劇場(8月14日)、熊本・熊本県立劇場(8月18日)、愛媛・松山市総合コミュニティセンター 文化ホール“キャメリアホール”(8月29日)、新潟・長岡市立劇場(9月16日)、岡山・倉敷市民会館(9月21日)、福島・けんしん郡山文化センター(9月27日)、東京・TOKYO DOME CITY HALL(10月1日)の全国8か所で開催。TOKYO DOME CITY HALLでの公演では、「VIPシート」(1万5000円)、「つばかぶり席」(4800円)、「漫才通シート」(4800円)といった特別席の用意もあるという。
ツアー開催に合わせ、昨年のツアーの東京公演に密着したDVD 『NON STYLE LIVE 〜38サンパチ〜』も7月24日に発売される。二人に今回のツアーの見所などを聞いてきた。
—— ツアーを前に意気込みを聞かせてください。
石田明:20周年が来年なんです。来年の助走になるようなライブにしようと思っています。
井上裕介:僕はネタを作る側ではないので、石田さんの脳みその中にあるものに、とにかく付き合おうと思っています。面白くなるように二人で頑張ります!
—— NON STYLEのネタはどんなところから生まれて来るんでしょう。
石田:やっぱり日々の生活から出てくるネタが多いです。自分が見たもの、聞いたものからしか面白い笑いは生まれてこないので。
—— ツアータイトル「Re:争論〜リソウロン〜」にはどんな意味が込められているんですか?
石田:僕らのライブはだいたいこんなんやりたいって、まず理想の話をして、僕がそれを書いて、そこから争論してっていうスタイルで作っていくんですけど、その理想はそれぞれ違っていて、それがぶつかっていけば面白いなって、そんなふうな願いが込められています。
—— 来年結成20年を迎えます。自分たちのキャリアを振り返って今、どんな感想を持ちますか?
井上:理想通りではないですけど、上出来すぎる20年だったと思います。ダウンタウンさんとか、さんまさん、ナインティナインさんみたいに、20代で覇者みたいになれると思って始めたんです。理想通りではなかったけど、20年近くこの世界にいれるっていうのは上出来中の上出来だと思っています。それと同時に、芸能界、芸人の世界っていうのがこんなに狭く小さい、つまんないものになっちゃったなっていう不満も持っています。
—— 芸人を取り巻く環境が変わってしまったということですか?
井上:デビューした頃とは明らかに変わってしまったことが多くて。昔の芸能界って女、酒、金とか、もう少し派手な世界だったんですけど、今はそれが全部無い。ガキの頃はそんな世界に、華やかやな、かっこいいなと思って憧れの目を持っていたんですけど、ちょっと寂しいなって。今は不倫はダメ、これはダメ、ダメなことばかり。いいこととダメなこと挙げたらダメなことの方が圧倒的に多い時代になってしまって……。
—— お笑いに対するモラルも強く問われる時代になりました。
井上:最近だと、「お前」って言葉すら使えなくなってきているんです。言葉の制限も増えてきたし、学もなくて、ダメ人間だからって、お笑いの世界に入ったのに、今はお笑いが一番真っ当なこと求められている。そこが理想とちょっとかけ離れている印象です。
石田:僕は自分が憧れた人がいて、その人を追いかけてこの世界に入ったんですけど、今、その憧れた人たちと一緒に仕事ができて、何のあれもないですね。結婚できて家も買うて何の問題もない(笑)。もともと理想として抱いていたものが僕は低いんで。今の暮らしは余裕でかつての理想を越えていますからね。
—— お二人は芸人にならなければ何をしていたと思いますか?
石田:普通に就職していたと思います。もともと板前ですし。
井上:教職の免許取りたかったから、ひょっとしたら勉強し直して、教員免許取ろうとしていたかもしれないですね。
—— 結構、現実的で真面目な回答ですね。
井上:いや、真面目じゃないです。真面目じゃないのにこの世界が真面目にしているというか……。この世界に入って人間の作りを真面目にせざるを得なくなっているんです。本当なら今でも不倫だとか、毎日お姉ちゃんはべらかしてとかしていたいんですけど(笑)
石田:(苦笑い)
—— この20年で笑いの質の部分も随分変わりましたか?
井上:使えない言葉が増えましたよね。ほんまはこうしたいのに、ここで叩きたいのに叩くのもダメ、この言葉もダメ、っていうのがものすごく増えてきたので、どうしてもこじんまりしてくるなって。
—— そういう環境だと新人も伸びにくい時代ということになるんでしょうか?
石田:いや、それはないですけどね。何でもありやと逆に伸びないと思うんです。
井上:成長しにくい世界ではないと思いますけど、憧れにくい世界になったなと思います。最近、若い子がYouTuberになりたいっていうのも、少し気持ちがわかるんです。だって、あれは自由にやれるから。
石田:(ネットで)顔を隠して、歌い出した人は天才ですよ。なんでもありやもん。芸人でも今後出てきそうですね。
—— そんな時代の中、NON STYLEは今後どうなっていくんでしょう。
石田:時代に変に付いていこうとしたら無理やと思うんですよ。例えば、今風のコント作るとなると俺らもこっ恥ずかしいし。そうじゃなくて、自分たちの型を崩さずに、面を合わせるというか。そういう形でやっていければ。
井上:付いていくというより、置いていかれないようにしないとあかんなと思うんです。大きい時代という空間があるんで、その中心にいなくていいんで、ぎりぎりはじっこで、円の外側に最後までしがみついていれば、上には上がっていけると思うんで。
—— 今後の目標はありますか?
石田:100年後とか200年後に平成を代表する、令和を代表する漫才師っていうので絶対NON STYLEって入ってくるよなとか。そういう存在になりたい。あと、NON STYLEといえば、これやなっていう定番のネタを作りたいです。落語とかも現代落語の分野で、今後何百人という人がこの先やっていくような、そういうネタを作れたらいいなって。
井上:自分はNON STYLEとしてではなく、井上裕介面白いねって言われたい。一人の芸人として認知されたい気持ちがあります。作戦なんてたててもどんどん壊れていく。一生懸命やるしかない。ツアーを見に来る客が井上裕介が出るなら見に行こうかって、言ってくれるような存在になりたい。この先の10年でそれができたらもう未練はないかもしれないです。それができたらどの世界でも生きていけますもん。それが例えば、明石家さんま師匠、島田紳助師匠のような存在になれるということだと思うんです。
(取材・文:名鹿祥史)
■全国ツアー
【公演名】 NON STYLE LIVE 2019「Re:争論〜リソウロン〜」
【出 演】 NON STYLE
【公演日】 2019年7月21日(日)〜2019年10月1日(火)
■NON STYLE・石田明 作・演出・主演
幼児・小学生・戦隊ファン 夏休み企画 ももたろう
【出演者】
石田明(NON STYLE)、小澤亮太、峯岸みなみ(AKB48)、カートヤング、こうすけ(初恋タロー)、五明拓弥(グランジ)、アイパー滝沢、サルゴリラ、バイク川崎バイク、しいはしジャスタウェイ、ウエスP、ゆきえ(シャインハッピー)、大石敦士、久保田創
【公演日】
7月:7/22(月)、7/24(水)、7/25(木)、7/26(金)、7/30(火)、7/31(水)
8月:8/1(木)、8/2(金)、8/5(月)、8/8(木)
【会場】
ルミネtheよしもと