すべては月周回衛星「嫦娥1号」から始まった。中国神話に出てくる月の女神の名を付けられたこの有人探査機は、2007年10月24日に、四川省にある西昌衛星発射センターから打ち上げられた。月の上空、約200キロメートルをおよそ1年間に渡って周回する予定であったが、同年11月12日に嫦娥1号からの交信が45分にわたって中断された。その後は回復したと発表されているが、一説によると交信不能のまま、機体が行方不明になったというのではというウワサがある。
さらに疑念を深めるきっかけとなったのは、11月26日に嫦娥1号によって撮影された月面の画像である。この画像は幅280キロメートル、長さ460キロメートルの月面を映し出しているのだが、その画像は解像度が1ピクセルあたり120メートルとあまりにも酷い物だった。ちなみに、日本が2007年9月14日に打ち上げた月周回衛星かぐやの画像解像度は1ピクセルあたり10メートルである。そのため、嫦娥1号が撮ったとされる写真は、実はグーグル・ムーンの画像ではないかとまことしやかにささやかれている。
さらに2008年9月25日に、中国政府の威信をかけた有人宇宙船「神舟7号」が打ち上げられた。同月28日には宇宙空間での船外活動を行い、その模様は世界中で生中継されて大きな反響を呼んだ。だが、これもフェイクでは? という意見が多い。
船外活動中の映像に、数回にわたって気泡のようなものが上昇するシーンが写っているのが確認されたのだ。ユーチューブにもこの映像がアップされていたので、見た方も多いかと思う。このことから、映像は撮影用プールなどを使った、水中撮影の映像ではないかとの疑惑が持ち上がったのだ。
これら中国の一連の疑惑から脳裏に浮かび上がるのは、アポロ11号の月面着陸捏造説だ。疑惑の裏には、宇宙開発で先を越されたことなどの、他国のやっかみや嫉妬といったものもあるだろう。アポロ疑惑の場合はそれに加えて、反米思想から生まれた陰謀論などがからんで「アポロは月へ行っていない」という都市伝説が形成されたといわれている。
中国の宇宙開発がどこまで進んでいるのかは、関係者以外は不明である。果たして今ささやかれている疑惑の数々は、いつ明らかにされるのであろうか。